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On the Production
by 井口健二
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■デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム、TACKA(タスカー)、Winny
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
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『デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム』
“Moonage Daydream”
2016年に肝臓癌で逝去したミュージシャンであり、俳優でも
あったアーティストが残した膨大なフッテージを基に、稀代
のミュージシャンの本質に迫ったドキュメンタリー。
本作の監督と編集を担当したブレット・モーゲンは2007年に
デヴィッド・ボウイと会い、監督が構想するハイブリッドな
ドキュメンタリーについて語り合ったそうだ。しかし当時は
半ば引退状態だったボウイは「今はそれをやる時ではない」
と考えていたようだ。
そんな経緯から今回は、デヴィッド・ボウイ財団が公認する
唯一のドキュメンタリーの制作が監督に任せられることにな
る。ところが監督の前に置かれたのはミュージシャンが生前
に残したライヴの映像から各種のインタヴューなど、観るだ
けで2年が費やされたという膨大なフッテージだった。
そのフッテージをモーゲン監督は、毎日12〜14時間、週6日
を掛けて2年間観続け、それらの中からボウイの死生観や世
界観を紡ぎ出して行く。しかもそこには関係者など他者の干
渉は一切排され、全てがボウイ自身の声で語られる。そして
それが見事な映像体験として描き出された作品だ。
出演はデヴィッド・ボウイ。彼自身の語りによって全てが描
かれる。
さらにスタッフでは音楽プロデューサーをボウイのアルバム
を多く手掛けたトニー・ヴィスコンティが手掛けた他。音響
技術に2018年『ボヘミアン・ラプソディ』などのポール・マ
ッセイと、2019年『フォードvsフェラーリ』などのデヴィッ
ド・ジャンマルコ。また音響監督は『ボヘミアン・ラプソデ
ィ』などのジョン・ワーハーストとニーナ・ハートストーン
が担当している。
因に本作はIMAX及びDolby Atomosで公開されるもので、その
映像迫力と共に、音響でも最高の体験が得られるようになっ
ている作品だ。
という内容の作品だが、実は本作にはデヴィッド・ボウイ自
身の語りに加えて大量の映画のクリップが挿入される。それ
はボウイ自身が選んだものではないが、モーゲン監督が直接
話し合った感覚としてボウイが出会ったであろう映像体験を
再現したものということだ。
そしてそこに提示されるのが、ジョルジュ・メリエスの『月
世界旅行』(カラー版)を始め、『メトロポリス』や『ノスフ
ェラトゥ』、さらには『宇宙水爆戦』に『宇宙戦争』など、
正に往年のSF映画の名作が綺羅星のごとく登場する。これ
にはSF映画ファンとして心底から呆然とする思いだった。
もちろん『地球に落ちてきた男』も含まれる。
それはボウイがSF映画ファンだったことは他の映画出演作
からも想像するが、ここまでどっぷりという印象をモーゲン
監督が受けていたのだとすれば、これは本当にそうだったの
だろう。しかもそれがIMAXの画面で上映されるのだ。これは
SF映画ファンにも最高の贈り物と言える作品だ。
公開は3月24日より、全国のIMAX/Dolby Atomos劇場でロー
ドショウとなる。
『TACKA(タスカー/Точка)』
成人映画出身の鎌田義孝監督が、2005年の『YUMENOユメノ』
以来17年ぶりに自らの企画・脚本で手掛けた一般映画で、か
なり厭世的な雰囲気の作品。
中心で描かれるのは、オホーツク海沿岸の街でロシア人相手
の中古電気店を営んできた男。しかし経営に行き詰り、一人
娘を老親に預けている男は、娘と親に生命保険金を残そうと
考える。そこで自分を殺してくれる人を SNSで募るが…。
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01月22日(日)
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