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On the Production
by 井口健二
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■百年の夢、戦慄のリンク、ピエール・エテックス レトロスペクティブ 、餓鬼が笑う
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『百年の夢』“Obrazy starého sveta”
1972年に製作されたものの、共産党政権下では輸出が禁止さ
れ、16年後にようやくその禁が解かれて1992年には日本でも
公開されたというドキュメンタリー。その作品がディジタル
リマスターにより再公開されることになった。
取材の対象はスロヴァキア共和国、カルパチア山脈の東側に
位置するファトラ山地。そこには瘦せた土地にしがみ付くよ
うに暮らすいずれも高齢な人々がいた。そんな人々の暮らし
振りがモノクロの映像で綴られて行く。
脚本と監督は、1938年スロヴァキア生まれのドゥシャン・ハ
ナーク。プラハ芸術アカデミーで映画演出を学び、20作以上
の短編ドキュメンタリーを制作した後、1969年に発表した初
の長編作品 “322”がマンハイム国際映画祭でグランプリを
受賞。
しかしその後は、本作を含む多くの作品が当局によって上映
禁止とされた。だが解禁後にはそれらの作品が各国で上映さ
れ、本作は1988年ニヨン国際映画祭でグランプリを受賞する
など、数多くの賞に輝いている。そして現在はアカデミーで
教鞭をとるなど、活躍中のようだ。
内容は正直に言って重苦しいなど、国の体面を気にする共産
党政権下では都合の悪い真実が描かれたものと言える。でも
そこで老人たちが語る言葉には、哲学的なものもあり、示唆
に富んだものでもあって、現代の我々も耳を傾けるべきもの
のようにも聞こえるものだ。
とは言うものの、厳しい環境に暮らす割にはあっけらかんと
した感じのものもあって、その辺はバランスも考えて作られ
た作品のようにも見える。そして最後にはちょっと希望も見
えるような部分もあって、それは優れたドキュメンタリーと
いう感じの作品だった。
公開は12月3日より、東京は渋谷のシアター・イメージフォ
ーラム他にて全国順次ロードショウとなる。
なお本編の上映時間が1992年の日本公開時と異なっているよ
うで、その点についてマスコミ資料にリマスター時のコマ数
変換によるものとあったが、その経緯の説明には少し疑問に
感じるところがある。
でもまあ内容に変更は生じないものなので、了解としたい。
『戦慄のリンク』“网络凶铃/網路凶鈴”
2007年3月紹介『ドリーム・クルーズ』などのJホラー監督
鶴田法男が中国に招かれ、10数年前にネットで話題になった
というマ・ボヨン原作のホラー小説を映画化した2020年本国
公開の作品。
女子大生の主人公は就寝直前に同級生でもある従姉から「ネ
ットで読んでいるホラー小説が怖い」という電話を受ける。
そして翌日大学の講義に現れない従姉を心配して下宿を訪ね
ると、そこには血まみれの遺体が転がっていた。
という導入部で始まる物語だが、背景にはネットで進行する
リレー小説があり、従姉もそのライターの1人だったがある
事情で中断していたという。ところがそれが突然再開され、
最終章でそっくりの事件が描かれていた。
しかし警察は自殺として事件を終わらせようとし、その対応
に疑問を持つ主人公は独自の捜査を開始する。そこにネット
で評判の犯罪心理学に詳しい大学の先輩なども絡み、主人公
らは事件の真相に迫って行くが…。
出演は、2016年7月紹介『西遊記』のさらに続編に出ていた
という女優/モデルのスン・イハンと、台湾出身で2017年の
金馬奨最優秀新人賞にノミネートされたフー・モンボー。他
にジョウ・ハオトン、シャオ・ハンらが脇を固めている。
また監督以外のスタッフでは、撮影を『曇天に笑う』などの
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11月13日(日)
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