ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459538hit]
■若者は山里をめざす、スクロール、仕掛人・藤枝梅安
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『若者は山里をめざす』
2016年2月紹介『無音の叫び声』などの原村政樹監督が、埼
玉県で消滅可能性都市No.1とされる東秩父村に近年移住した
若者たちを取材したドキュメンタリー。
所在地は名前の通り秩父の東側。地図で観ると埼玉県のほぼ
中央だが、深い山懐に抱かれ、正に自然の真っただ中という
感じの場所だ。東京の都心から60kmということだが、アクセ
スは電車とバスで80分だという。
60kmと言うと自分が生まれ育った平塚市がほぼ同じ距離だと
思うが、東京駅からJRで50分足らずだから、不便と言えば
不便なのだろう。特に鉄道1本で行けないというのは大きい
かもしれない。
そんな村に移住した若者で最初に登場するのは31歳の女性。
元々東秩父村の出身だった彼女は10代の頃には都会に憧れた
が、東京の大学では同級生に羨ましがられ、さらに消滅可能
性都市No.1とされたことに反発して村にUターンした。
そんな彼女は村の老人たちと積極的に話し合い、新たな村の
魅力を発見して村を再生させようと頑張っている。特に不便
かも知れないが豊かな暮らしぶりと、老人たちが孤独ではな
いということに惹かれるのだという。
次に登場するのは25歳の男性。元々旅好きだった彼は農村の
暮らしにも憧れていたが、勤め先でのパワハラなどから退職
を決意、東秩父村の地域おこし協力隊に応募して村にやって
きた。そんな彼は村の特産品に着目する。
他にユネスコの無形文化財にも指定されている村の伝統工芸
和紙作りを継承するため、職人の募集に応募して移住してき
た26歳の男性や、京都の芸術系の大学で和紙の技術を学んで
移住してきた23歳の女性など、様々な若者が描かれる。
題名からは五木寛之の小説、若しくはザ・フォーク・クルセ
ダーズの楽曲「青年は荒野をめざす」を思い出したが、監督
はその世代なのかな? いずれにしても都会生活に違和感を
持った若者が目指した先に山里があったという作品だ。
ただ展開としては理想論かな。もちろんここではこれが現実
なのだろうけど、別の場所でも同じに行くのかどうか。とは
いうものの、実は上映後に監督の挨拶があって、そこでは若
者にもっと村に来てもらいたいという言葉もあった。
つまりそのためのPR映画という側面もあるようが、それは
同時に村に住む老人たちにも、若者との付き合い方を教える
ノウハウ映画というような感じもしてきた。それらが上手く
行けば、きっとより良い村生活が実現するものだ。
それにしても村の特産品のノゴンボウ餅というのは一度食べ
てみたくなったものだ。
公開は2023年1月14日より、東京は新宿K's cinema、続いて
1月21日より埼玉県川越スカラ座他で全国順次ロードショウ
となる。
『スクロール』
1991年生まれで若者に強い影響力を持つという作家、橋爪駿
輝のデビュー作を、2019年9月22日題名紹介『MANRIKI』な
どの清水康彦の脚本監督、北村匠海、中川大志、松岡茉優、
古川琴音の共演で描いた作品。
いつも「死にたい、死んでしまいたい」とスマホのメモ帳に
書き込んでいる若者と、仕事も恋もいつも刹那的に生きてい
る若者。そんな2人が学生時代の同級生が自死したことで、
人生の新たな局面に向き合うことになる。
そんな若者に付き合いことになった2人の女性も、男性たち
の運命に巻き込まれて行く。物語の背景にはパワハラやセク
ハラなど、正しく現代社会の様々な側面が見え隠れする作品
だ。
上記以外の出演は水橋研二、莉子、三河悠冴、MEGUMI、金子
[5]続きを読む
11月06日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る