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On the Production
by 井口健二
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■カンフースタントマン龍虎武師
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
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『カンフースタントマン龍虎武師』“龍虎武師”
1971年、ゴールデン・ハーベスト製作『ドラゴン危機一発』
で彗星のごとく登場したブルース・リーに始まる香港アクシ
ョン映画の歴史と現状を、映画の制作を支えるスタントマン
の側面から描いたドキュメンタリー。
1930年代、日本軍の侵攻を逃れて多くの京劇役者が香港に移
住。彼らは貧しい家庭の子供たちに京劇を教え始める。そし
て1960年代には4つの京劇学校が存在し、そこでは演技と共
に武術に基づくアクションが教育されていた。
ところが彼らが卒業するころには京劇の人気が下火になり、
彼らは映画に活路を見出さざるを得なくなる。そこに登場し
たのがブルース・リー。様式美に捉われた京劇アクションに
飽き足らなかった香港映画に新風が送り込まれる。
しかし1973年にリーが死去。カンフー映画は一気に下火にな
り、数多くにスタントマンが職を失うことになる。その状況
を打破したのが、監督兼俳優のラウ・カーリョンとサモ・ハ
ンだった。彼らは武術に基づくカンフー映画を開拓する。
こうして香港カンフー映画は隆盛を極めるが…。様々な映画
のクリップやメイキングシーンなども織り交ぜながら、その
後の本土の映画界との確執など、香港映画の現状も克明に描
かれて行く。
出演はサモ・ハンを筆頭に、ドニー・イェン、ブルース・リ
ャンらのアクションスター。またユエン・ウーピン、スタン
リー・トン、チン・シウトン、トン・ワイ、チン・カーロッ
らの監督や俳優たち。
さらにジャッキー・チェンのアクションチーム成家班の元メ
ンバーのマース、スタントマンのユエ・タウワン、ユン・ワ
ー。そしてツイ・ハーク、アンドリュー・ラウ、エリック・
ツァン、ウー・スーユエンらの大物映画人も登場する。
監督は著名な映画評論家で、2019年『ザ・ルーキーズ』など
の映画プロデューサーでもあるウェイ・ジュンツー。香港ス
タントマン協会の全面協力の許、3年の歳月を掛けて作られ
た作品だ。
往時の香港カンフー映画を観て来た者にとっては、挿入され
るクリップや語られる裏話なども実に懐かしく、面白く観ら
れる作品だ。ただし少し気になるところもなくはない作品と
も言える。
それはジャッキー・チェンの存在がかなり希薄に感じられる
ところで、それはチェンの名前や出演シーンや古い写真など
も出て来はするが、肝心の本人の発言が全く登場しない。そ
れに代ってドニー・イェンの存在は際立っていた。
これに関しては近年の報道に登場するチェンの行動を観てい
ると、何となく裏切り者のレッテルが貼られているのかな。
そんな邪推もしたくなる作品だった。それもまた面白いとこ
ろではあるのだが。
公開は2023年1月6日より、東京は新宿武蔵野館他で全国順
次ロードショウとなる。
        *         *
 なお今週はもう1作品鑑賞してるが、その映画に関しては
次回の紹介とさせてもらう。
10月30日(日)
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