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On the Production
by 井口健二
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■シスター夏のわかれ道、桜色の風が咲く
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『シスター夏のわかれ道』“我的姐姐”
1979年から2014年まで続いた中華人民共和国の一人っ子政策
に翻弄される姉弟の姿を描き、2021年に公開された本国では
『007』や『DUNE』を抑えてのbPヒットに輝いたという
作品。
主人公は四川省成都の病院で看護師として働く女性。医師に
なることが目標で、そのための貯金や猛勉強に励んでいる。
そして彼女には、一緒に北京に行って学ぶことを約束した恋
人もいたが…。
市内で起きた交通事故が彼女の人生を暗転させる。その事故
では彼女の両親が死亡し、両親には彼女が会ったこともない
幼い息子がいたのだ。こうして彼女は幼い弟の面倒を見るこ
とになるが、それは北京に行くことの足枷にもなる。
そこで彼女が思い付いたのは、幼い弟を子供のいない一家に
養子に出すことだった。そのため彼女は弟に感情を抱かない
ように努め、弟を引き取る家を探し始める。そしてそこには
申し分のない夫婦が見つかるが。
脚本と監督は、共に1986年生まれで中央戯劇学院演劇文学演
出科を卒業したイン・ルオシン(監督)と、ヨウ・シャオイン
(脚本)。正に一人っ子政策世代である2人の女性が、その思
いを込めて作り上げた作品だ。
出演は、2001年生まれで2010年製作2015年1月紹介『唐山大
地震』では中国の大衆映画百花賞新人賞を当時史上最年少で
受賞したチャン・ツィフォンと、2016年アメリカ生まれで父
親は韓国出身というダレン・キム。
他にヒットシリーズ『唐人街探偵』に出演のシャオ・ヤン、
本作で中国金鶏賞など各助演女優賞を総なめにしたジュー・
ユエンユエンらが脇を固めている。
一人っ子政策に関しては以前にもそれに伴う悲喜劇を描いた
作品は観ていると思うが、本作ではそこに姉弟愛を巧みに挿
入して、正しく感動の作品に仕上げている。しかもそこには
政策自体の矛盾や、社会情勢なども巧みに織り込まれて、政
策が終了した現代にも通じる物語となっている。
そこが背景の状況に疎い外国人の我々にも共感できる作品に
なっていると言えるのだろう。特に姉弟愛が育まれて行く過
程の描写は、一人っ子政策への理解を超えて感動を与えてく
れるものだ。
公開は11月25日より、東京は新宿ピカデリー、ヒューマント
ラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋他にて全国ロード
ショウとなる。

『桜色の風が咲く』
3歳で右目、9歳で左目を失明し、18歳で失聴して全盲聾と
なるも21歳で都立大学に合格、全国初の全盲聾での大学進学
を果たし、その後は金沢大学助教授などを経て2008年からは
東京大学教授となった福島智氏と彼の母親を描いた作品。
その少年は片目の視力を失っても、「僕は片目だから宿題も
半分すればよい」と嘯くなど天真爛漫に育っていた。そして
両目の視力を失っても落語を楽しむなどしていたが、遂には
その聴力も失ってしまう。
そんな息子の姿を直ぐ傍で見てきた母親は、その瞬間にある
コミュニケーションの手法を思いつく。それは少年に大きな
未来を引き寄せるものだった。そしてその手法は世界の盲聾
者に希望を与えた。
監督は、2017年7月16日題名紹介の前作『パーフェクト・レ
ボリューション』では身体障碍者の生活を描いた松本准平。
本作は前作の上映会で監督と福島氏が出会ったことから企画
が始まったそうだ。
出演は、2010年9月紹介『信さん−炭坑町のセレナーデ』な
どの小雪が同作以来の主演(母親役)を務め、息子役は2020年
3月15日題名紹介『朝が来る』などの田中偉登。また息子の

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09月18日(日)
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