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On the Production
by 井口健二
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■日本原 牛と人の大地
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
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『日本原 牛と人の大地』
日露戦争後の1909年に陸軍省によって 265万坪の土地が買収
され、中にあった2カ村を廃村にして開設された日本原演習
場。岡山県奈義町と津山市に跨るその場所を巡る歴史と現状
を描いたドキュメンタリー。
2カ村は廃村になったものの旧村民による入会権は認められ
ていたそうで、それに基づく田畑の耕作や柴刈りは行われて
いたようだ。そして第2次大戦敗戦後は占領軍による接収を
経て全面返還が発表される。
これに対して保守系で占められる地元の奈義町議会は自衛隊
の誘致を議決。その取り決めに当初は入会地を巡った附則が
あったものの徐々に形骸化され、1970年、その運用を巡って
旧地元民による反対運動が勃発する。
以来50年、当時の反対運動に参加した岡山大学医学部の学生
は地元民の婿養子となり、最後の村民として演習場内の田畑
を耕し、牧草で酪農を行いながら反対運動を続けている。そ
んな人物の暮らしぶりが綴られる。
僕自身が70年安保世代で、学友の中には成田闘争に参加した
者もいるが、東の成田に当時の学生で今も地元で反対運動を
続けている闘士がいる一方で、西の日本原にも闘争を続けて
いる人を見られたのは嬉しく思えた。
と言いながら僕自身は、過去も現在も日本原のことなど考え
たこともなかったが、今や演習場として米軍による単独訓練
も実施されるなど状況が悪化している現実には、言葉を失う
恐ろしさを感じてしまった。
沖縄だけでなく、本州の中にもこんな演習場が現存している
とは…。これは日本人として深刻に受け取るべき事象と言え
る。確かに反対運動の規模は小さいが、それが次世代に引き
継がれている状況には素晴らしさも感じられた。
撮影と監督は早稲田大学文学部映像学科を卒業後に日本映画
学校で学んだという黒部俊介。2012年に岡山県に移住し一度
は映画の道を諦めたものの、本作の題材に巡り合い。食肉セ
ンターでアルバイトをしながら撮り上げたという作品だ。
公開は9月17日より東京はポレポレ東中野、大阪は第七藝術
劇場、さらに岡山では10月7日よりシネマ・クレール他にて
全国順次ロードショウとなる。
08月28日(日)
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