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On the Production
by 井口健二
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■霧幻鉄道、映画 バクテン!!、1640日の家族、アンデス
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『霧幻鉄道』
2022年10月1日に全線復旧が予定されているJR東日本只見線
の復旧までの道のりを描いたドキュメンタリー。
2011年7月26日から30日にかけて新潟県、福島県を襲った豪
雨により、両県の山間を縫って結ぶ只見線は、路線に沿って
流れる只見川の増水で福島県内の3つの鉄橋が流失。以来全
線での運行は不通となっていた。
しかも同線はもともとが赤字路線であり、豪雪などの理由で
国鉄再建法に基づく廃線対象からは除外されていたものの、
3つの鉄橋を再建してまでの復旧には問題が多かった。実際
に福島県が行った検討でもバス転換が有力だった。
それがなぜ全線復旧するに至ったのか…。そこには只見線を
数10年に亙って年間 300日撮影しているという一人のカメラ
マンの存在があった。星賢孝。彼は只見線の映像を内外に発
信し、写真展や講演会などでその魅力を訴えた。
その成果は徐々に実を結び、2016年頃には台湾から団体で観
光客が訪れるなど活況を呈し始める。そんな中で撮影ツアー
のガイドを務めて撮影スポットでの撮り方を惜しげもなく紹
介するなど、絶景撮影の名所としての価値を上げ続ける。
その熱意が福島県や沿線自治体を動かし、遂には路線の全線
復旧へと繋いでいったのだ。そして現在では、全線復旧に向
けた撮影スポットの整備など、より高い観光立地に向けた努
力が続けられている。
監督と撮影は、テレビドキュメンタリーの出身で2011年以降
に福島県に制作拠点を移して作品を発表している安孫子亘。
同県を中心に行政から教育問題まで様々なドキュメンタリー
を精力的に発表している監督だ。
ただし本作に関しては、なぜ現時点を以って本作の終わりと
したのかが理解できない。それは一つの区切りとなるはずの
全線復旧が目前に迫っている時点であり、それを敢えて結末
としなかった意図が掴めなかった。
特に作中では、せっかく準備したのに観客が集まらなかった
実例なども紹介されており、それが復旧後にどうなったか、
そんな検証があっても良かったと思えた。そのため僕にはも
やもや感が残って作品も中途半端に感じられた。
全線復旧後を描いたPart 2はありなのかな?
公開は地元福島県ではすでに行われており、東京は7月29日
より、ヒューマントラストシネマ渋谷、UPLINK吉祥寺他にて
全国順次ロードショウとなる。

『映画 バクテン!!』
東日本大震災から10年の2021年4〜6月に深夜のフジテレビ
他で全12話が放送されたアニメーションシリーズの映画版。
宮城県岩沼市の私立高校を舞台に、男子新体操に打ち込む若
者たちの青春ストーリーが展開される。
実はテレビシリーズは観ていないのだが、前回紹介の『劇場
版ねこ物件』と同じく本作もシリーズに続く物語のようだ。
とは言うもののシリーズの抜粋なども回想形式などで卒なく
紹介され、シリーズを観ていなくても違和感なく物語に入れ
るように工夫がされていた。
それで多分、シリーズでの目標だったインターハイ大会が終
わり、3年生の引退やその後の進路の問題、そして新たな目
標に向かっての主人公たちの動きが描かれる。それはまあこ
の手の部活ものではよくあるテーマだが、男子新体操という
ちょっと特殊なシチュエーションも活かされた展開だった。
そんなある意味定番の物語だが、そこで何と言っても作品の
見どころは随所に挿入される男子新体操の演技だろう。それ
らはプロのパフォーマーや大学、高校などの新体操部現役部
員による演技をモーションキャプチャーしたもので、それは

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06月19日(日)
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