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On the Production
by 井口健二
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■サハラのカフェのマリカ、劇場版ねこ物件、失われた時の中で
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
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『サハラのカフェのマリカ』“143, rue du Désert”
2016年に長編デビュー作“Dans ma tête un rond-point”が
公開されたというアルジェリアの俊英ハッセン・フェルハー
ニ監督が、2019年のロカルノ国際映画祭で最優秀新人監督賞
を受賞したドキュメンタリー。
舞台はサハラ砂漠。その中で産業道路らしく大型トラックが
行きかう街道の傍らに若くはない女性が一人で切り盛りする
雑貨屋があった。その店には常連らしいトラックの運転手や
そのトラックにヒッチハイクする人々が訪れていたが…。
その店は、現状は一軒家だが近くには以前は店だったような
廃墟もあり、今また新たな給油所が建つ工事も進んでいる。
つまりそれなりの交通の要衝ではあるようだ。そんな場所に
建つ店にはいろいろな人物が集まってくる。
そんな人々の話を女性はただ聞いていたり、それなりの茶々
を入れたり…。中には女性の一人暮らしを心配してくれる人
もいるが、ただ自分の愚痴を言い続けるだけの様な客もいた
りもする。そして女性にある転機が訪れる。
監督は「逆説的ロードムーヴィ」と称しているようだが、撮
影場所は一か所で、そこにいろいろな人間模様が行きかう。
そしてそこには一人の主人公がいる。それは確かに監督の言
いたいことも良く判る作品だった。
本作を観ていて僕は是枝裕和監督の1999年作品『ワンダフル
ライフ』を思い出していた。その作品はドラマだが、そこで
は素人の出演者にシチュエーションだけ伝えて演技をさせ、
その様子を捉えてドラマにする手法が採られていた。
是枝監督もドキュメンタリーの出身で、その中から編み出さ
れた手法だと思われるが、特に出演者がシチュエーションを
逸脱してしまう瞬間が見事なドラマに昇華して描かれていた
ものだ。
それが本作の中でも実は途中で女性によるイレギュラーな発
言があり、何となく似た感じも受けてしまったものだ。しか
もそこに、出演者への深い愛情が感じられるところも是枝作
品に通じるものを感じた。
そして本作では共演する2匹の猫と2匹の犬の存在も生きて
いた。この動物たちがマリカの安全を保っているのかな。
公開は8月26日より、東京はヒューマントラストシネマ渋谷
他で全国順次ロードショウとなる。
『劇場版ねこ物件』
2022年4月8日(金)にテレビ神奈川で第1話放送、6月10日
に最終話の予告編が更新されたということは多分6月17日に
それが放送となる最新シリーズの劇場版。従ってこの記事に
は、現時点で最終話のネタバレも入っている。
そのいきなりのネタバレで本作は、ドラマの舞台である二星
ハイツから以前の住人たちが巣立った後の家主である主人公
と2匹の猫の暮らしぶりが描かれる。そこで主人公は不動産
会社の女子社員と新たな入居者の募集を始めるのだが…。
実は主人公には幼い頃の記憶がなく、そこに亡くなった祖父
からの謎の手紙が届く。そしてその手紙に触発されて僅かな
思い出が再生され、そこから自らの記憶を取り戻すための新
たな物語が展開される。
まあ何というか、かなりミステリアスな雰囲気も漂う物語の
展開となるが、そこにクロとチャー2匹の猫の存在と以前の
仲間たちとの交流などが重なって、全体としてハートフルな
物語に仕上げられている。
脚本と監督は、2022年4月紹介『劇場版おいしい給食』など
の綾部真弥がテレビシリーズに続けて手掛けている。
出演は、2018年1月14日題名紹介『曇天に笑う』などの古川
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06月12日(日)
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