ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459630hit]
■小説の神様、ミセス・ノイズィ(トキワ荘、島にて、海辺の映画館、恋する男、ジャズ喫茶、ルース・エドガー、朝が来る、タゴールS、追龍)
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『小説の神様 君としか描けない物語』
『ミセス・ノイズィ』
今週は小説作家を主人公にした映画の試写を2本観たので、
纏めて紹介する。
1本目は2009年の鮎川哲也賞受賞でデビューした推理作家の
相沢沙呼が2016年に文庫書下ろしで発表したライトノベルの
映画化。
主人公は2人。その1人目は中学生の時に応募した作品が受
賞して作家デビューしたという男子高校生。しかしその後に
発表した作品では評価が下がり続け、SNSでも酷評が続い
て作家としての自信を完全に失っている。
そしてもう1人は彼の居るクラスに転入してきた女子高生。
実は彼女も華々しくデビューした作家だったが、最近は少し
スランプ気味だった。そんな彼女を部長から命を受けた主人
公が文芸部に勧誘する。
斯くして2人のプロ作家が揃った文芸部だったが、2人の意
見は小説の在り方を巡って対立。そんな2人に出版社からあ
る提案がされる。それは構成力に長ける彼女のプロットで、
文章力のある彼が共作しないかというものだった。
その提案に渋々応じた彼だったが、2人の共同作業が進む内
に、彼は彼女の意外な秘密を知ることになる。
出演はEXILE TRIBEの所属で2019年2月17日題名紹介『4月
の君、スピカ。』などの佐藤大樹と、2019年11月17日題名紹
介『シグナル100』などの橋本環奈。
他に佐藤流司、柴田杏花。さらに莉子、坂口涼太郎、山本未
來、片岡愛之助、和久井映見らが脇を固めている。
脚本は2015年公開の歴史映画『杉原千畝 スギハラチウネ』
の鎌田哲郎。監督は2016年からの『HiGH&LOW』シリーズで
そのほとんどを手掛ける久保茂昭が担当した。
典型的なライトノベルという感じの作品だが、主演の2人の
雰囲気にはマッチしている感じかな。それに2人がそれぞれ
抱える作家としての使命感みたいなものも、それなりに理解
できる感じがした。
活字離れというか、書籍離れが進む時代には、こんな物語が
あってもいいかなあと思える作品だ。
公開は5月22日より、東京は新宿ピカデリー他で全国ロード
ショウとなる。
2本目は、2012年1月紹介『桃まつり〜すき〜』の中で『フ
ィガロの告白』という作品を発表していた天野千尋監督の、
オリジナル脚本による長編デビュー作。
主人公は主婦でもある兼業の作家。そんな作家が夫と幼い娘
と共に郊外の集合住宅に引っ越してくる。ところが締め切り
に追われ荷解きも疎かに徹夜した彼女は、早朝から始まった
隣部屋からの布団叩きの騒音に苛立ちを募らせる。
その上、編集部に持ち込んだ原稿がダメ出しされて落ち込ん
だ彼女は、ベランダ越しに文句を言ってしまうが…。彼女が
執筆にかまけている間に幼い娘が部屋から出てしまい。隣部
屋の住人と一緒にいたことが判明する。
この状況にさらに怒りを募らせた彼女はそれを小説に書いて
しまう。しかしそれが好評を呼び、さらにある出来事が起き
て…。
出演は2019年2月24日題名紹介『さよならくちびる』などの
篠原ゆき子と、2017年9月24日題名紹介『レミングスの夏』
などの大高洋子(共に初主演?)。それに2019年7月28日題名
紹介『駅までの道をおしえて』などの新津ちせ。
他に長尾卓磨、宮崎太一、米本来輝。さらに洞口依子、和田
雅成、田中要次、風祭ゆきらが脇を固めている。
実は映画の中でも主人公の作品には登場人物に深みがないと
言われるのだが、その点が本作にも呼応してしまっている。
それは特に主人公が作家のステレオタイプに描かれ過ぎてい
る点が気になった。
[5]続きを読む
03月15日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る