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On the Production
by 井口健二
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■CURED、シラノ(僕は猟師になった、HARAJUKU、#ハンド全力、大海原のソングライン、未成年、暗数殺人、ANNA、わたしはダフネ、マルモイ)
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『CURED キュアード』“The Cured”
2017年11月紹介『フラットライナーズ』などのエレン・ペイ
ジが主演と製作も務め、人間を凶暴化させるウィルスによる
パンデミックが収束した後の近未来を描いた架空設定の社会
派ドラマ。
アイルランド発祥のそのウィルスは人間を凶暴化させ、見境
なく他人を襲い、死に至らしめる場合もある。感染は主に噛
みつきで、感染者を守ろうとした者も襲われる危険がある。
ただし感染者同士は襲わない。
この設定は、2019年9月29日題名紹介の1978年版『ゾンビ』
以降のゾンビ映画にかなり共通しているが、人肉を食べるこ
とはない。つまり生きた人間の肉しか食わない設定はなく、
単に保菌者同士は襲わないという説明だ。
そんな感染症にも治療法が見つかり、回復者(キュアード)の
社会復帰が始まる。しかし回復者には罹患中の記憶が残って
おり、それがトラウマになっていた。しかも回復できたのは
患者の75%で、残りの25%は凶暴なままだった。
そんな中で警備に当っていた国連軍の撤収が決まり、警備は
アイルランド国軍に委ねられることになるが…。
物語の主人公は回復して社会復帰した男性。彼は惨禍で死亡
した兄の家に帰ってくるが、そこには未亡人となった兄嫁と
まだ幼い甥が暮らしていた。そして主人公には患者に襲われ
ない特性があり疾病の研究施設に勤めだす。
その研究施設では残る25%の患者の治療法を探していたが、
成果が上がらず、政府は残る患者の安楽死を検討し始める。
これに対して回復者たちは抗議行動を起こすが、健常者との
間で軋轢が増し、一触即発の事態へとなって行く。
脚本と監督はダブリンの大学で映画研究の修士号を取得した
デイヴィッド・フレインのデビュー作。
2008年から手掛けた短編作品の内の1本が受賞。2012年エデ
ィンバラ国際映画祭に提出した本作の脚本が評価され、アイ
ルランド映画委員会の支援で制作した7分間の前日譚“The
First Wave”が資金提供を誘い長編デビューとなった。
共演はいずれもアイルランド出身の俳優で、2015年12月紹介
『白鯨との闘い』などのサム・キーリーと、2012年7月紹介
『ハンガーゲーム』などの4部作で主人公の母親役を演じた
ポーラ・マルコムスン。
さらに『アベンジャーズ』シリーズで敵役の側近を演じてい
たトム・ヴォーン=ローラーらが脇を固めている。
回復者は罹患中の罪は問われないが、本人にも周囲にも犯行
の記憶は残っている。一方、健常者には回復者に対する偏見
と恐怖がある。このため社会復帰しても回復者には真面な職
の与えられない差別が生じる。
この展開にはいろいろなことを思わせるが、本作で兄嫁役を
演じたペイジは、2016年8月14日題名紹介『ハンズ・オブ・
ラヴ 手のひらの勇気』などを製作、主演して自らもカミン
グアウトしている人なので、その思いは受け止めたい。
そんな思いを凄絶なサヴァイヴァル劇の中で巧みに表現した
作品とも言えそうだ。
公開は3月20日より、東京はヒューマントラストシネマ渋谷
他で全国順次ロードショウとなる。

『シラノ・ド・ベルジュラック』“Cyrano de Bergerac”
2019年2月に紹介『シー・ラヴズ・ミー』の後、7月7日題
名紹介『ロミオとジュリエット』、9月8日題名紹介『42nd
ストリート』と続いてきた「松竹ブロードウェイシネマ」の
第4弾。
フランスの劇作家エドモン・ロスタンにより1897年12月28日
にパリで初演され、500日間、400回に亙って上演され続けた

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03月01日(日)
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