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On the Production
by 井口健二
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■ナイチンゲール、三島由紀夫VS東大全共闘(モルエラニ、ハーレイ・クィン、仮面病棟、ペトルーニャ、ケアニン、サーホー、新喜劇王、劇場)
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
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『ナイチンゲール』“The Nightingale”
2018年の第75回ヴェネツィア国際映画祭にて、本作の脚本・
監督を手掛けたジェニファー・ケントに新人監督賞と審査員
特別賞の2冠が贈られた19世紀オーストラリアのタスマニア
島が舞台の強烈な復讐劇。
時代はオーストラリアがイギリスの植民地だった頃。本国か
ら多くの流刑者が送られて来る中で、本土の南方に位置する
タスマニア島(旧名:ヴァン・ディーメンズ・ランド)には、
1803年、シドニーに続く第2の刑務所が設置された。
その刑務所に主人公のアイルランド人女性は些細な罪を問わ
れ、一定期間の契約奴隷として送られていた。ところが期間
が過ぎても刑を解かれない。実は彼女は美声の歌手で、将校
の慰み者でもあったのだ。
そんな状況に彼女の夫は、妻の刑の終了を認める書類の作成
を将校に訴えたが…。言葉を左右する将校の仕打ちに食って
掛かった夫は彼女の目の前で射殺され、さらに最愛の赤ん坊
まで殺されてしまう。
そして将校は自らの出世と本土への復帰を求めて、島の玄関
口である港町へと出発する。しかも時間を急ぐ将校は危険な
山道の行軍を選択し、原住民の老アボリジニを案内人に山に
分け入っていた。
そこで後を追う主人公も若いアボリジニを雇うが、イギリス
人とアイルランド人の対立以上に、両者が未開人と見下すア
ボリジニとの関係も複雑なものだった。
出演は、2016年―17年『ゲーム・オブ・スローンズ』などの
アイスリン・フランシオン。アイルランド出身で『トスカ』
などにも出演のオペラ歌手でもある女優にとっては、最高の
嵌り役と言える作品だ。
他に、2011年5月紹介『パイレーツ・オブ・カリビアン/生
命(いのち)の泉』や2013年12月紹介『ハンガーゲーム2』な
どのサム・フランクリンと、オーストラリア・エルコ島出身
のアボリジニでダンスパフォーマーのバイガル・ガナンバル
(映画初出演)らが脇を固めている。
映画の中では英語とアイルランド語、それにアボリジニの言
語が飛び交うが、実はタスマニア島のアボリジニは植民者に
よってほぼ絶滅されており、その言葉も消滅している。その
ため今回は本土からアボリジニの演技者が招かれ、また言語
にはPalawa kaniと呼ばれる構造言語が使われている。
この言語は、かつて東部アボリジニ・タスマニア人によって
話されていたとされるものだが、実は限られた記録文献の中
から再構成された語彙に基づき、タスマニア・アボリジニ・
センターでの推論により作成されたもの。
この状況からも判るように映画は明らかにオーストラリアの
負の歴史を描くもので、しかもそれが女性監督とは思えない
R15+指定となる激しい描写で再現される。そこには様々な
思いも込められているのだろうが、正しく受賞に相応しい作
品だった。
公開は3月20日より、東京はヒューマントラストシネマ渋谷
他で全国順次ロードショウとなる。

『三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実』
1969年5月13日、東大駒場の 900番教室で行われた討論会の
模様を、当時の報道機関で唯一取材を許されたTBSに残さ
れていた映像を基に、当事者たちへの現在のインタヴューを
交えて構成したドキュメンタリー。
「政治の季節」とも呼ばれた当時は、同年1月の東大本郷安
田講堂攻防戦や沖縄反戦デー、長崎佐世保港に入港した空母
エンタープライズを巡る反対闘争など、日本中、いや世界中
に権力に対する闘争が渦巻いていた。
そんな中で行われた作家・三島由紀夫と東大の全学共闘会議

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02月16日(日)
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