ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■王宮の夜鬼、ある船頭の話(左様なら、永遠の門 ゴッホ、閉鎖病棟、アナベル 死霊博物館、108、ガリーボーイ、トスカーナの幸せレシピ)
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『王宮の夜鬼』“창궐”
中国の属国だった朝鮮王朝時代を背景に、夜鬼と呼ばれるゾ
ンビが登場するアクション作品。
中国に隷属して何とか国体を保っている時代。しかし王宮の
中にも中国の支配から脱却しようとする動きはあった。とこ
ろがその動きの中で南蛮船から銃器と弾薬を密輸しようとし
た第1皇子は、露見して王の前で自害してしまう。
一方、弟の第2皇子は武術の達人ではあったが遊び人で、長
く中国に滞在していた。そんな第2皇子が兄からの遺言状を
受け取り、兄嫁の救援のため帰国してくる。そして港に到着
した第2皇子は港町の異常な事態に遭遇する。
そこには人肉を食らい、噛まれたものはその仲間になってし
まう夜鬼が跋扈していたのだ。それでも戦士の一団と出会っ
た第2皇子は王宮に向かうが…。すでにその王宮には夜鬼が
侵入していた。
出演は、2018年6月3日題名紹介『スウィンダラーズ』など
のヒョンビンと、2018年5月紹介『V.I.P. 修羅の獣たち』
などのチャン・ドンゴン。
他に2018年3月18日題名紹介『天命の城』などのチョ・ウジ
ン、2016年12月25日題名紹介『アシュラ』などのチョン・マ
ンシク。さらに2018年『ときめき プリンセス婚活記』など
のイ・ソンビン、2018年12月2日題名紹介『ゴールデンスラ
ンバー』などのキム・ウィソンらが脇を固めている。
脚本は2012年12月紹介『王になった男』などのファン・ジョ
ユン。監督は2017年12月10日題名紹介『コンフィデンシャル
共助』などのキム・ソンフンが担当した。
2017年7月紹介『新感染 ファイナル・エクスプレス』に続
く韓国製ゾンビ映画だが、本作でもゾンビとアクションをか
なり激しく融合させた作品になっている。それはまあ多少の
気になるところはあったが、全体は見事だった。
ただしアクションを突き詰めると最後は1:1の対決となる
が、そこには落とし穴がある。ここで本作の場合は主人公と
仇との戦いとなるのだが、この時点で仇の側にはまだ生前の
知識があるようなのだ。
しかしこの時点で仇に知識があるということは、それはその
仇がまだ完全には死に切ってはおらず、夜鬼にはなっていな
いということで、それでは周囲の夜鬼に襲われる存在でもあ
るはずなのだ。
つまりゾンビが仲間を襲わないのは、そいつがすでに死者で
あり、生者の肉しか食べないゾンビの食物にならないからな
のだ。そして死者は生前の知識を持たない。これに対して本
作の仇にはまだ知識があり、それは死者ではなくゾンビの食
物であるはずなのだ。
ここでゾンビ映画の名品とされる1978年ジョージ・A・ロメ
ロ監督の『ゾンビ』では、ゾンビに噛まれてエレベーターに
逃れた男がエレベータ内でゾンビ化し、扉が開くと外にいた
ゾンビたちが関心を失うというシーンと。
その後にゾンビ化した男が、本能の働くままに偽装された通
路を破って生者の隠れ場所に侵入するというシーンがあり、
これらの展開を当時の僕らは賞賛した。お話は当然作り物で
はあるけれど、これくらいの辻褄合わせは欲しいと思ってし
まうものだ。
まあアクションが主体の作品だから、これ位は目を瞑って楽
しめばいいものではあるが…。なおアクションの中にも気が
付くとかなり笑えるシーンも存在した。
公開は9月20日より、東京はシネマート新宿他で全国ロード
ショウとなる。

『ある船頭の話』
2018年11月25日題名紹介『宵闇真珠』などの国際俳優オダギ
リジョーが脚本と長編映画の初監督を務めた作品。

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08月04日(日)
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