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On the Production
by 井口健二
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■風をつかまえた少年、ジョナサン(暁闇、トールキン旅のはじまり、JKエレジー、グッド・ヴァイブレーションズ)、「フランス映画祭2019」
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
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『風をつかまえた少年』
“The Boy Who Harnessed the Wind”
2013年の『それでも夜は明ける』でオスカー候補にもなった
2018年4月紹介『死の谷間』などの俳優キウェテル・イジョ
フォーが、長編映画の初監督、脚本に挑戦し、出演も務めた
アフリカが舞台の実話に基づく作品。
1987年にアフリカ南東部の共和国マラウイの中部州ドーワ県
で生まれたウィリアム・カムクワンバは、高校に進学するも
2002年にマラウイ全土で数千人規模の餓死者を出した大旱魃
に遭遇。営農者だった両親の困窮で学業を断念する。
しかし村の図書館で独学を続けた少年は、図書館で目にした
“Using Energy”という本から風力発電と、その電気を利用
した揚水ポンプのシステムを思いつくが…。15歳少年のアイ
デアは大人の常識からは考えの及ばないものだった。
出演は現地で行われたオーディションで選ばれたケニア出身
のマックスウェル・シンバ。監督のイジョフォー。それにセ
ネガル出身で2006年3月紹介『隠された記憶』や同年12月紹
介『パリ、ジュテーム』などに出ていたアイサ・マイガ。
またマラウイ出身ミュージシャンのリリー・バンダ。2016年
9月18日題名紹介『アイ・イン・ザ・スカイ』などのレモハ
ン・ツィパ。さらに2002年『堕天使のパスポート』などのノ
ーマ・ドゥメズウェニ。オーディションで選ばれたマラウイ
出身のフィベール・ファラケサらが脇を固めている。
脚本は、カムクワンバがジャーナリストのブライアン・ミー
ラーとの共同で2009年に著した書籍に基づき、それに触発さ
れたイジョフォーが自ら脚本を執筆。
その脚本を2017年11月26日題名紹介『アウトサイダーズ』な
どのアンドレア・カルダーウッドと、2006年3月紹介『ナイ
ロビの蜂』などのゲイル・イーガンの両プロデューサーに見
せて映画化に漕ぎ着けた。
さらに本作には、前回紹介『ピータールー』などの撮影監督
ディック・ホープ。2008年8月紹介『ブラインドネス』など
の美術監督トゥレ・ペヤク。2016年09月25日題名紹介『マダ
ム・フローレンス!』などの編集ヴァレリオ・ポネッリ。
また2002年11月4日付「東京国際映画祭」で紹介『シティ・
オブ・ゴッド』などの音楽を担当したアントニオ・ピントら
が結集している。なお出演者のリリー・バンダも2曲提供し
ている。
僕自身が技術屋出身の目からすると、これだけの風力があっ
たら、発電→電動ポンプの手順を採らなくても、直接風力で
揚水するシステムもあるのではないかと考えるが。実話は、
まず発電でラジオを鳴らし電灯を点けたことが評価されたの
だそうで、その順番ならこの流れも理解できるものだ。
まあいきなり揚水システムというのは、主人公の父親でなく
てもできるとは思えないだろう。でも実際にこれで揚水まで
実現したのだから、その実行力には驚かされる。
そして映画では、世界最貧国とされるマラウイの現状も詳細
に描き出しており、その悲惨さにも胸を打たれる。この状況
の世界に向けたアピールこそが、イジョフォーがこの映画に
込めた最大のテーマのようにも感じた。
単に成功して良かったね…では済まされない、アフリカの現
実が描かれた作品だ。
公開は8月2日より、東京はヒューマントラストシネマ有楽
町、新宿武蔵野館他で全国順次ロードショウとなる。
『ジョナサン ふたつの顔の男』“Jonathan”
2018年5月20日題名紹介『クリミナル・タウン』などのアン
セル・エルゴートの主演で、ある特殊な状況を生きる男性を
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06月09日(日)
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