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On the Production
by 井口健二
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■ピータールー、マーウェン(サマー・オブ・84、ホットギミック、永遠に僕のもの、ポラロイド、ドッグマン、東京喰種 ト-キョ-グ-ル【S】)
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
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『ピータールー マンチェスターの悲劇』“Peterloo”
2011年9月紹介『家族の庭』などのマイク・リー監督が、自
らの脚本で英国史に残る惨劇を描いた上映時間2時間35分の
歴史劇。
時代は1819年。4年前のワーテルローの戦いでフランス軍に
は勝利したイギリスだったが、多大な戦費の浪費などで国内
経済は疲弊。さらに穀物法による小麦の輸入禁止が庶民には
パンも買えない事態となっていた。
しかし病弱の国王に代わる摂政王太子ジョージ4世による乱
脈な支配の許、富裕層だけが参政権を持つ議会では庶民の暮
しなどを顧みることもなく、軍人に多大な功労金を与える法
案などが満場一致で通過してしまう。
一方、産業革命により工業化の進んだイングランド北西部の
町マンチェスターでは、工場で働く労働者に掛る負担は大き
く。また穀物法や自分らに参政権が与えられていないことへ
の不満が膨らんでいた。
そんな中で、ロンドンでは参政権の平等化を求める集会に、
10万人が集まる状況も生じていた。そしてその集会に登壇し
たヘンリー・ハントの演説に心酔したマンチェスター市民の
代表は、彼を招いての集会の開催を計画するが…。
武器を持たない子供や女性も参加して平和裏に行われるはず
だった集会が、様々な要因から最悪の事態に至ってしまう。
その顛末が綿密な調査を基に克明に再現される。正しく近代
イギリスの汚点を描いたと言える作品だ。
出演は、007シリーズでのターナー役や2014年『イミテー
ション・ゲーム』などのロリー・キニア。2014年『博士と彼
女のセオリー』などのマキシン・ピーク。
他に、テレビや舞台で活躍の若手俳優デイヴィッド・ムーア
ストや、2012年7月紹介『ウェイバック』などのピアース・
クイグリーら、所謂人気スターではないが、実力派の顔ぶれ
が史実を再現している。
実はマンチェスター出身のリー監督自身が、この事件のこと
は知らなかったのだそうで、それくらいに英国史の中では隠
蔽された出来事だったようだ。しかも監督は今まで現代劇を
多く手掛けており、この事件を知った時も自分が映画化する
とは思わなかったそうだ。
しかし監督は2014年『ターナー、光に愛を求めて』を撮った
後で、今ならこの題材をできると確信し、2019年に200周年
を迎えるこの事件の映画化に踏み切ったとされる。
とは言え、長年隠蔽されてきた出来事に光を当てることはか
なり難しかったようで、監督はジャクリーヌ・ライディング
という歴史家の協力を得て、客観的な事実や当事者の手紙な
どの調査を経て脚本を作り上げている。
それにしても肝心な時にいない軍の司令官や、酔っぱらった
まま出動する騎馬兵など、こんな悲しい事実があっていいの
かと思える作品だった。しかしこれが歴史の真実なのだ。
公開は8月9日より、東京はTOHOシネマズシャンテ他で全国
順次ロードショウとなる。
『マーウェン』“Welcome to Marwen”
2015年に出版されてAmazon.comにてその年のベストブックの
1冊に選ばれた写真集と、2010年に発表のドキュメンタリー
映画 “Marwencol”からインスパイアされたロバート・ゼメ
キス脚本(キャロライン・トムプスンとの共同)、監督による
ファンタシーの要素もあるドラマ作品。
映画の開幕は、第2次世界大戦時のベルギー上空。主人公の
乗る連合軍の戦闘機が被弾し、何とか湿地に不時着したもの
の、彼が履いていた靴は使えなくなる。しかし道端のナチス
の車両からハイヒールを発見、それを履いてみる。
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06月02日(日)
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