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On the Production
by 井口健二
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■アイアン・スカイ第三帝国(ブレスあの波、女の機嫌の直し方、新聞記者、月極オトコトモダチ、ペトラは静かに対峙、Tribe Called Discord)
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『アイアン・スカイ第三帝国の逆襲』
“Iron Sky: The Coming Race”
2012年5月紹介『アイアン・スカイ』の続き。
前作では月面からのナチスの侵攻を防いだ合衆国だったが、
その戦いを引き金に核戦争が勃発、地球は荒廃してしまう。
そして合衆国大統領は秘かに極地のシェルターに避難してい
た。それから30年後。
月面の旧ナチス基地では1980人の人類が生き延びていた。し
かし資源が枯渇し、人類の命運は尽きかけていた。それでも
ジョブス教なる信仰の下、何とか生き延びる道を探っていた
が。その宗教も怪しげな方向に向い始める。
そんな折、1隻の円盤型宇宙船が月面基地に辿り着く。それ
はロシアから発進したもので、操縦していたのは天才的な技
術者だった。一方、月面生まれの基地司令の娘がある人物に
遭遇。そして背後にある巨大な秘密を教えられるが…。
脚本と監督は前作に続けてのティモ・ヴォレンソラ。脚本は
ダラン・マッソンとの共同になっているが、前作のヨハンナ
・シニサロ、マイクル・カールスニコらはbased onというこ
となので、直接関与はしていないようだ。
出演は、イギリス出身で主にテレビで活躍しているララ・ロ
ッシと、ロシア出身のウラジミル・グラコフ。それにオース
トラリア出身でブラジリアン柔術の2013年ワールドチャンピ
オンというキット・デール。
さらに、カナダ出身で2000年『チャーリーズエンジェル』に
出ていたトム・グリーン。また前作の主演でブレイクしたフ
ランス出身のユリア・ディーツェと、2019年2月10日題名紹
介『ドント・ウォーリー』などのウド・キアも再登場する。
前作の紹介では、ナチスの月面基地が根拠のないものではな
いことを記したが、本作の柱の一つである地球空洞説も、実
はナチス総統のアドルフ・ヒトラーが信じて研究させていた
ものの一つで、この点も史実に基づいていると言える。
但し、現実には本作に描かれるような空洞世界は物理的に存
在するものではないが。元来が月面シーンでもくもくと煙が
出ているような映画なのだから、その辺の科学考証は口にし
ないことにしよう。
これに対して世界史を戯画化しているもう一つのテーマには
それなりの説得力がある。また巻頭に登場する欠けた月や、
その直後のワシントンD.C.に立ち上るきのこ雲など、インパ
クトのある映像も面白かった。
とは言え上映時間が93分では、いずれのエピソードも充分に
描き込まれてはいないが、チャラチャラと観る感じの最近の
観客にはこれで良いのだろう。いずれにしてもあまり深く考
えずに見た目だけを追えばよい作品だ。
因に海外のデータベースによると、本シリーズではもう1本
“The Ark: An Iron Sky Story”という作品が、アンディ・
ガルシアとウド・キアの共演で撮影済となっており、それが
何故かPost Productionの段階で止まっている。
その作品の背景は、本作(2047年)より前の2032年となってい
るようで、前作と本作の繋ぎなのかな。その作品も完成させ
て見せて貰いたいものだ。そして本作の続きも今度は7年も
待たせないことを期待したい。
公開は7月12日より、東京はTOHOシネマズ日比谷他にて全国
ロードショウとなる。
この週は他に
『ブレス あの波の向こうへ』“Breath”
(オーストラリアでサーフ文学の金字塔とされる文学賞の受
賞作に、2011年2月紹介『キラー・インサイド・ミー』など
の俳優サイモン・ベイカーが初監督、脚本、出演で挑んだ作
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04月28日(日)
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