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On the Production
by 井口健二
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■パペット大騒査線(漂うがごとく、私の20世紀、ぼくの好きな、ジ・アリンズ、少年たち、ザ・プレイス、Be with You、セメント、ワイルドT)
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『パペット大騒査線 追憶の紫影(パープル・シャドー)』
               “The Happytime Murders”
『セサミ・ストリート』や『マペット・ショー』などで人気
を博したマペッツの創始者ジム・ヘンスンの息子で、1992年
『マペッツのクリスマス・キャロル』の監督を務めたブライ
アン・ヘンスンが、1996年“Muppet Treasure Island”以来
の監督を手掛けた作品。
舞台は人間とパペットが共存している世界のロサンゼルス。
主人公は、その町で私立探偵を開業している元LAPD刑事
だった男性パペット。彼は人間の女性秘書と共に、人間とパ
ペットの間で起きるトラブル解決を生業としていた。
そんな彼の許に超セクシーな女性のパペットが仕事の依頼に
現れる。それは彼女の生命を狙う脅迫状が届いたというもの
だった。そしてその文面からポルノショップが絡んでいると
睨んだ主人公はショップを訪ねるが…。
そこに突然乱射魔が現れ、主人公以外のその店に居合わせた
パペットの客や店主が全員射殺されてしまう。このため警察
が出動し、主人公は元同僚たちと再会、自らの嫌疑を晴らす
ために元同僚との共同捜査を余儀なくされる。
しかも続けて主人公の弟が突然自宅に現れた犬に咬み殺され
る事件が起き、そこで主人公は被害者に共通する過去に気が
付く。それは彼らがあるテレビ番組の共演者で、その番組の
権利者だったということだ。
こうして残る共演者への捜査が始まるが、それでも殺人は続
いてしまう。
共演は“Can You Ever Forgive Me?”で今年のオスカー主演
女優賞にノミネートのメリッサ・マッカーシー。因に彼女は
今年のラジー賞主演女優賞にもノミネートされており、この
W・ノミニーは稀有だそうだ。
他に、2016年11月27日題名紹介『マギーズ・プラン 幸せの
あとしまつ』などのマーヤ・ルドルフ、2011年9月紹介『ス
パイキッズ4D/ワールドタイム・ミッション』などのジョ
エル・マクヘイル、それに2017年5月紹介『パワーレンジャ
ー』などのエリザベス・バンクスらが脇を固めている。
最初のポルノショップのシーンで『ディープ・スロート』と
並ぶポルノの名作“Behind the Green Door”のパロディも
登場し、かなり思い切った作品だと想像される。しかもその
直後の殺戮シーンの強烈さ。ただし吹き出すのは血糊ではな
く、白い綿というスタンスの作品だ。
実は映画の冒頭では子供にいじめられたり、犬に吠えられる
パペットのシーンもあって、これらは容易に人種差別を想起
させる。つまりこの作品は、アメリカ社会の陰の部分をいろ
いろ突いているものだが。その作品にラジー賞で作品、助演
男優、監督、脚本など大量のノミネートとは了見が狭い。
なお、人間の俳優と対等に共演するパペットは、間違いなく
ジム・ヘンスン名付けのマペッツだが、実はこの名称は作品
の権利と共に2004年にディズニーに売却されており、本作は
Henson Alternative製作であるにも拘らずその名称が使えな
い。従ってパペットと強調されているものだ。
それにしても映画の中でのパペットへの差別表現は、有名な
レイシストだったウォルト・ディズニーへの揶揄のようにも
取れるし、その辺の忖度でのレジー賞大量ノミネートなのか
な? とも勘ぐれる。
公開は2月22日より、東京は渋谷のシネクイント他にて全国
ロードショウとなる。

この週は他に
『漂うがごとく』“Chơi Vơi/Adrift”
(「ベトナム映画祭2018」で上映された2009年製作の作品。

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01月27日(日)
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