ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459691hit]
■チワワちゃん、グリーンブック(サムライ・M、こどもしょくどう、ソローキン、洗骨、がんになる、ライズダルライザー、サタデーナイト・C)
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『チワワちゃん』
2012年『ヘルタースケルター』の原作などで知られる漫画家
・岡崎京子が、1996年に発表した全7編からなる連作短編集
の映画化。その物語に2017年8月20日題名紹介『リミット・
オブ・スリーピング・ビューティ』の二宮健監督が挑んだ。
物語の切っ掛けは、東京湾でバラバラ死体で発見された若い
女性。都会の若者グループの中でマスコット的な存在だった
彼女は、仲間には「チワワちゃん」と呼ばれていたが、誰も
彼女の素性も、本名さえも知らなかった。
そんな彼女は仲間の中でリーダー格の男性が連れてきたが、
彼女を誘った台詞が自分のときと同じだったことに主人公は
ショックを受ける。それでも仲間たちは分け隔てなく彼女を
受け入れるが…。
そんなある日、溜まり場のVIP席に座る男のサイドバック
に600万円が入っていると聞かされた彼らは、チワワの思い
切った行動でその強奪に成功する。しかも男たちは収賄事件
で逮捕され、現金だけが手元に残る。
そんな金はあっという間に使い切る彼らだったが、その絆は
深まっているようにも見えた。そして主人公が趣味的に行っ
ていたファッションのインスタグラムに加わったチワワは、
あっという間に人気モデルになって行く。
それでも誰も、チワワの本名さえも知らなかった。
出演は、2017年12月10日題名紹介『サニー/32』などの門脇
麦、2018年11月3日付「東京国際映画祭」で紹介『愛がなん
だ』などの成田凌、2017年7月紹介『ナミヤ雑貨店の奇跡』
などの寛一郎。
さらに2018年8月12日題名紹介『銃』などの村上虹郎、同年
8月26日題名紹介『ういらぶ。』などの玉城ティナ、それに
2017年7月2日題名紹介『心が叫びたがってるんだ。』に出
ていたという吉田志織。
他に栗山千明、浅野忠信らが脇を固めている。
物語は主人公が雑誌記者に取材されるという形でも進められ
るが、全体的には若者たちの奔放な生態が描かれる。それは
半世紀ほど昔の自分がこの年代だった頃とは様変わりだが、
通じるところもないではない。
そんなある種の普遍的な青春群像劇が展開される。それは原
作が20年近く前の作品であることにも拠るかもしれないが、
その普遍的な物語を、二宮監督が見事に現代に写したとも言
える作品だ。
ただ青春とはあまりにも曖昧模糊としたものであり、それを
曖昧なまま映像化した本作では、年代を重ねた観客には理解
を超えた面はあるかもしれない。でもこれが青春だし、自分
たちもこんな中を生きてきたのだ。
そんな懐かしさも感じさせてくれる作品だ。彼らの20年後も
観たくなる。
公開は2019年1月18日より、東京は新宿バルト9他にて全国
ロードショウとなる。
『グリーンブック』“Green Book”
1962年、ケネディ大統領下のアメリカで、ドクターの肩書を
持った黒人のピアニストがディープサウス横断の演奏旅行を
敢行した。その実話に基づく作品。
主人公はイタリア系の運転手。大型車も運転できるベテラン
だが、いろいろあって運転手は休職中。しかし口が達者で剛
腕の彼は、マフィア系のナイトクラブで用心棒のような仕事
もやっている。
ところがそのクラブが改装のため休業となり、仕事を失った
彼の許にとある仕事が斡旋される。それはカーネギーホール
の上階に住むドクターの運転手というものだったが、訪れた
彼を待っていたのは黒人のピアニストだった。
ソ連に留学し博士の肩書も持つピアニストは、未だ黒人差別
の激しいディープサウスを演奏旅行する計画で、その運転手
[5]続きを読む
12月23日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る