ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■岡本太郎の沖縄、歯まん(君がまた走り、母を亡くし、誰がための、500年の航海、記者たち、君から目が、女王陛下の、ギルティ、クリード2)
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
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『岡本太郎の沖縄』
2018年7月15日題名紹介『太陽の塔』に続けての、芸術家・
岡本太郎に関連するドキュメンタリー。
岡本は日本各地を巡る旅の最後の訪問地として、米国統治下
だった1959年と66年に沖縄を訪れ、数多くの写真を撮影して
それらは写真集として出版された。本作ではその写真集を基
に、岡本が観た沖縄とその後の沖縄が検証される。
そこには後に人間国宝とされて今でも仕事を続けている芭蕉
布の生産者女性や、1966年訪問時に動画で記録された久高島
の祭礼のその後なども語られる。その50年、60年の時間の重
みも感じられる作品だ。
特に久高島の祭礼に関しては、12年ごとの午年に行われる祭
りの司祭主の女性が写真集の表紙を飾っているものであり、
極めて厳格と言われた女性司祭が岡本を受け入れたような表
情で写るその写真が、本作の原点ともされている。
またこの祭礼に関しては、1966年に取材された祭りの本質に
迫る証言や、後の78年、90年の様子もアーカイヴ映像で挿入
され、450年の歴史を持つ祭礼の大きな流れを感じさせる。
これだけで1本作れそうな感じのものだ。
その一方で久高島では、岡本によって島の伝統である風葬の
様子が撮影されており、それは後に週刊誌に掲載されて問題
も引き起こしたようだ。ここには当時の撮影に同行した人の
インタヴューも登場し、事実関係なども証言される。
その他にも、岡本が撮影した写真と現在との対比も随所で行
われ、変ってしまった風景や、変わらない風景が時の流れも
感じさせてくれる。その中で岡本が「日本の原点」と称した
沖縄の変貌が日本の現状を現しているとも感じる作品だ。
つまり本作では、写真集を基に多くの問題提起がなされるも
のであり、それこそが岡本太郎の本質を描いているようにも
感じられた。それは先の作品で評論家が勝手に語る証言より
も、より明確に芸術家を描いていると感じるものだ。
芸術家を語るにはまずその作品を語るべきであり、その点で
本作は写真集という明確な作品を基に綴られ、そこに様々な
証言や事象が挿入されて、正に岡本太郎の全体像が描かれた
作品になっている。
そして劣化によってボロボロになったフィルムのディジタル
リマスターなど、正に労を惜しまない制作者の態度が、素晴
らしい作品を作り出している。
公開は、10月24日から那覇市で先行上映の後、関西地区では
11月24日から行われており、東京では2019年1月19日より、
渋谷ユーロスペースでの上映が予定されている。
『歯まん』
2015年「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」のオフシ
アター・コンペ部門で上映されて北海道知事賞を受賞。その
後にモントリオール世界映画祭やシッチェス映画祭などでも
上映されたファンタシー作品が、4年を経て一般公開される
ことになり、試写が行われた。
題名の意味は、女性性器に歯が生えているということで、何
というか、下ネタ好きでもちょっと退いてしまうようなタイ
トルには相応の内容が予想されるものだ。しかし映画は意外
と真面と言える作品だった。
始りはラヴホテルでベッドインしている高校生のカップル。
メイクラヴが進み、少女が絶頂に達した時、突然少年が痛み
を訴え、身体を離した少年の股間から血が噴出する。そして
その血を浴びた少女は街に彷徨い出る。
やがて街では猟奇的な殺人事件の報道や噂話が飛び交う中、
喫茶店で悲嘆にくれる少女に1人の男性がハンカチを差し出
す。そしてそのまま店を出る男性の姿を別の女性も見送って
いた。
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12月16日(日)
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