ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459698hit]
■かぞくわり、デイアンドナイト(ムトゥ、マダムのおかしな晩餐会、ヴィヴィアン・W、猫カフェ、ボヘミアン・ラプソディ、共犯者たち)
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『かぞくわり』
2018年4月紹介『審判』で製作を務めた奈良県在住塩崎祥平
監督が、折口信夫の小説「死者の書」にインスパイアされた
自らの脚本で、日本の家族のあり方を描いた作品。
主人公は38歳にして定職にも就かず、両親と共に実家暮らし
を続けてきた女性。彼女の幼い頃の夢は画家になることで、
それなりの才能も発揮していたが。その夢は叶わず、そんな
ことが彼女の人生も狂わしてしまったようだ。
その実家に、著名人に嫁いでいた実妹が思春期の娘を連れて
出戻ってくる。その妹は自分と娘の居場所を確保するため、
家中の家財などを始末し始めるが…。その引き取りに謎めい
た男性が現れる。
そして主人公は、街でその男性と再会し、彼に導かれるまま
謎の地下社会に迷い込み、そこで絵画の情熱を再燃させる。
しかしそこでは何やら謀議が進められており、しかもそれに
妹の娘も巻き込まれてしまう。
舞台となっている土地には、「死者の書」に描かれた中将姫
が一夜にして織上げたとされる「当麻曼荼羅」を祀る寺院が
実在し、非業の死を遂げた大津皇子との関係を語る伝説も残
されている。
そんな背景の中で、一度はバラバラになってしまった家族の
再生が描かれる。
出演は「宝塚歌劇団」元宙組トップ娘役で本作が映画初主演
となる陽月華。他に舞台俳優の石井由多加、2017年2月26日
題名紹介『破裏拳ポリマー』などの佃井皆美、テレビシリー
ズ『シグナル』などの木下彩音。さらに竹下景子、小日向文
世らが脇を固めている。
基となる「死者の書」は、2006年川本喜八郎監督による人形
アニメーション映画化でも知られており、実は塩崎監督はそ
の作品の海外セールスに関っていたとのこと。本作はそんな
経緯もあっての作品のようだ。
しかし本作で塩崎監督が元来描きたかったのは家族の再生物
語であり、そこに「死者の書」が上手く織り込まれたかどう
か。正直にはその辺があまりしっくりとはいっていないよう
に感じた。
監督は社会性を持たせたかったのかもしれないが、いくつか
織り込まれるエピソードが中途半端な扱いでは、却って真に
語りたい物語への流れを阻害しているようにも感じられ、そ
れらは無くても良いのではないかとさえ思える。
ただ僕個人の意見としては、クライマックスの壮大な景観も
含め、ファンタシーとしての描き方にはそれなりの見所も感
じたもので。それならもっと「死者の書」の方に重心を置い
て描いても良かったのではないか。
特に途中で訪れる山里の風景などは、もっと深く描き込んで
欲しかったところで、それこそが大津皇子の想いとして捉え
ても良かったのではないか、とも思ったものだ。そんな観点
での再挑戦も期待したくなった。
なおその際にはビスタではなく、シネマスコープでその映像
が見たい。
公開は2019年1月19日より、東京は有楽町スバル座他にて、
全国順次ロードショウとなる。
『デイアンドナイト』
2018年3月紹介『50回目のファーストキス』などの俳優・
山田孝之が初めてプロデューサーに専念し、同じ事務所に所
属する俳優・阿部進之介の原案を映画化した作品。
主人公は父親の自殺で生家に帰ってくる。その父親は、大手
企業の不正を内部告発したが返討に遭い、それで自死に追い
込まれたようだ。そして母親と妹との家族関係は崩壊寸前の
状態だった。
そんな主人公に1人の男が声を掛けてくる。その男は私設の
児童養護施設のオーナーだったが、生前の父親がその施設を
[5]続きを読む
10月28日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る