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On the Production
by 井口健二
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■1987(世界が愛した料理人、ボルグ、青夏、ダウンレンジ、いのちの、顔たち、リグレッション、太陽の、判決、オズランド、チューリップ)
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『1987、ある闘いの真実』“1987”
1987年、全斗煥軍事政権下での民主化運動。その流れを大き
く動かした事件の全容を事実に基づいて描いた作品。
2007年10月紹介『ユゴ|大統領有故』で描かれた1979年の朴
正煕暗殺以降、軍事政権を継承した全斗煥は「防共」の名の
許に政敵への弾圧を強める。それに対しソウルでは学生運動
が民衆も巻き込んだ闘争へと発展する。
そんな中、防共機関の施設内でソウル大生の拷問死が発生。
それを隠蔽しようとする防共機関と、政府発表に疑問を持ち
調査を続行するソウル地検検事。さらに大統領令に反して真
実を掴もうとする報道機関が動き出す。
一方、民主化運動の象徴ともされる金泳三は北に通じたとい
う名目で防共機関からは国賊とされ、追及を逃れてソウルの
寺院に匿われていた。そんな彼の許に、同様の罪状で収監さ
れたジャーナリストからの記事が届く。
その記事の発表に至る経緯が、防共機関の施設に始まり、大
学の構内、ソウル地方検察庁、新聞社の編集部、さらに刑務
所内や寺院の境内など、様々な地点での緊迫のドラマで展開
される。
出演は、2011年5月紹介『チョン・ウチ』などのキム・ユン
ソクと、2017年2月26日題名紹介『トンネル』などのハ・ジ
ョンウ。他にソル・ギョング、ユ・ヘジンなど、主役級の顔
触れが並ぶ。
さらに2017年2月5日題名紹介『お嬢さん』などのキム・テ
リ、2017年7月紹介『隠された時間』などのカン・ドンウォ
ンらの若手も出演。脚本と監督は2014年『ファイ悪魔に育て
られた少年』などのチャン・ジュヌァンが手掛けた。
1970年生まれのジュヌァン監督は当時の運動に参加していた
とのこと。また主演のキム・ユンソクは、拷問死したソウル
大生と同じ高校の2年後輩だそうで、そんな思いが込められ
た作品のようだ。
しかし監督からシナリオを見せられたユンソクは、「映画が
公開されたら自分や監督の身に危険が及ぶ可能性がある」と
も思ったそうで、それでも主演を快諾したという映画に賭け
る信念も感じられる作品だ。
一方、1990年生まれのキム・テリは、当初は「デモで世の中
が変わるものだろうか?」と懐疑的だったそうだが。韓国の
政治変革にはよく登場するロウソク集会に自ら参加して、そ
の心情の理解に努めたそうだ。
2020年の東京オリンピックを2年後に控えて、軍事政権とは
言わなくても次々に強権を発動し、その官邸発表に追随ばか
りのマスコミなど、これを他山の石として良いのかとも思わ
せる状況が描かれる。
公開は9月8日より、東京はシネマート新宿他にて全国順次
ロードショウとなる。

この週は他に
『世界が愛した料理人』“Soul”
(ミシュランの三ツ星をスペイン史上最年少で獲得したとい
う料理人エネコ・アチャが、食の魂を知るために日本の料理
人を訪ねるスペイン製作のドキュメンタリー。登場するのは
東京銀座・京料理「壬生」の石田廣義、登美子夫妻。六本木
「日本料理 龍吟」の山本征治。そして「すきやばし次郎」
の小野二郎。この他、ジョエル・ロブションや服部幸應らが
和食についての解説をしてくれる。作品の中心となるアチャ
は2017年に六本木で「エネコ東京」をオープンさせており、
本作はそれも踏まえての和食探訪なのかな。ただし作品は、
当初“Fusion”の題名で制作されていたようで、それが現題
名になったのはそれなりの想いの変化も考えられそうだ。海
外製作の和食ドキュメンタリーでは、2012年12月紹介『次郎

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07月15日(日)
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