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On the Production
by 井口健二
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■ワンダーランド北朝鮮、私の人生なのに(7号室、悲しみに、ポップ・アイ、ラ・チャナ、バッド・G、オーケストラ・C、スターリンの葬送)
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『ワンダーランド北朝鮮』
“Meine Brüder und Schwestern im Norden”
韓国・釜山出身の女性監督チョ・ソンヒョンが、母国籍では
入国できない近くて遠い隣国・北朝鮮を知るため、ドイツの
パスポートを取得し取材したドキュメンタリー。
作品を観たのが、正に米朝首脳会談の行われた日で、これか
らはどうなるのかな(?)という気持ちでも観ていた。2018年
6月3日題名紹介『北朝鮮をロックした日』を観てから間な
しでもあったし、いろいろな意味でコントロールされた作品
を観るのも興味深かったものだ。
宣伝チラシにも「プロパガンダか?」というコピーがあった
が、この状況下での取材でそれ以外を期待するのはなかなか
難しい。特に農村部の様子などは、正にソビエト連邦時代の
コルホーズ、ソホーズの紹介映像を思い出すもので、これが
共産主義だという感じもした。
ただし、堆肥の活用や太陽光発電の利用など、意外とエコロ
ジーなのは面白かったところで、この辺は日本の農協などと
は違う一面も見せてくれる。何故そうなったのかの経緯など
が不明なのは残念だが、これが資本主義と社会主義の違いな
のだろうか。
因にこの農村のシーンでは、糞尿などのメタンガスで炊飯す
るという話も登場するが、あの程度の設備で本当にガスが集
められるのかには疑問を感じた。正直、韓国映画などで描か
れる貧困の農村部とはかなり違うもので、どちらが真実なの
かは判らないところだ。
一方、都市部の様子に関しては、このページでは過去にヤン
・ヨンヒ監督の『ディア・ピョンヤン』(2006年7月紹介ド
キュメンタリー)、『愛しきソナ』(2011年2月紹介ドキュ
メンタリー)、『かぞくのくに』(2012年7月紹介ドラマ)
を観てきているが、それらの作品との差異は感じられた。
ただ純粋培養的な若者の姿は、『愛しきソナ』で描かれた姪
の姿にも重なるもので、そのうそ寒さみたいなものは本作で
も充分に伝わった。ソナが大きくなってもこんななのだろう
な、とは思わされたものだ。その中で語られるソウルに眠る
祖父への想いは本作の眼目かも知れない。
なお、後半の縫製工場のシーンで、「HIKARI」という
日本風の名前の付いたミシンが、ずらりと並んでいる様子が
登場するが。ネットで調べたら中国の会社の製品だそうで、
日本から不正輸出が行われたものではないようだ。まあ日本
では需要もなさそうだが。
米朝首脳会談の結果で、今後の北朝鮮がどのような方向に進
むのか、原状では全く不明だが。本作は正に北朝鮮が見せた
い自国の姿を描いているもので、僕らがいろいろ考える上で
のヒントにはなりそうな作品だ。
公開は6月30日より、東京は渋谷シアター・イメージフォー
ラム他で全国順次ロードショウとなる。
『私の人生なのに』
新体操の日本代表を目指しながらも脊髄損傷で下半身麻痺と
いう悲劇に見舞われた女性を、K-POP「KARA」の元メンバー
知英の主演で描いたドラマ作品。
主人公は体育大学の新体操部所属で、次期オリンピックの日
本代表にも選出されようとしていた女性。ところが1人で練
習中に突然の腹痛に見舞われ、失神して気が付いたのは病院
の病床。しかも彼女の下半身は完全に麻痺していた。
病名は脊髄梗塞。疾患による血流の障害で脊髄が虚血性壊死
し、発症部位から下の機能が麻痺して回復は不能というもの
だった。それでも学業には復帰する主人公だったが、両親や
周囲の人の励ましも素直には受け入れられない。
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06月17日(日)
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