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On the Production
by 井口健二
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■アラーニェの虫籠(きらきら眼鏡、最後のランナー、2重螺旋の恋人、性別がない、ストリート・オブ・ファイヤー)
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『アラーニェの虫籠』
NHK「みんなのうた」や、押井守監督作『イノセンス』の
ディジタル・エフェクトなどを手掛けてきたアニメーション
作家の坂本サクが、原作・脚本・アニメーション・音楽の全
てを1人の手で作り上げた75分の作品。
物語の舞台は、郊外の工場跡地に建つ巨大集合住宅。そこに
引っ越してきた女子大生が主人公。ところがそこは、女子高
生の変死体が発見されたり、不可解な心霊現象が目撃される
など、怪異な噂が絶えない場所だった。
そしてある夜、救急車で搬送される老婆の腕から大きな虫が
飛び出るのを目撃した主人公は、その虫のことを調べる内、
民俗学者と出会い、過去にもこの地域で、奇妙な虫の目撃例
が多発していたことを知る。
それは“心霊蟲”と呼ばれ、古来から人知れず存在していた
という。しかもその“虫”を見た者の中には、不気味な予兆
と共に、変死を遂げた者も少なくないため、“虫の呪い”と
も言われていた。
そんな呪いの恐怖に怯えながらも、彼女は様々な人たちとの
出会いを通して、自らも蟲や心霊現象の正体に迫って行くこ
とになるが…。
声優は、主人公に2017年3月紹介『夜は短し歩けよ乙女』な
どの花澤香菜。他に、2018年4月22日題名紹介『仮面ライダ
ーアマゾンズ』などの白本彩奈、2004−05年『特捜戦隊デカ
レンジャー』などの伊藤陽佑らが脇を固めている。
映画の前半は、その映像や雰囲気などが、1977年のダリオ・
アルジェント監督作『サスペリア』を思い出させるような見
事なホラーが展開される。これでこのまま最後まで描き切れ
たらとんでもないものになるという予感もしたものだ。
しかし後半になると、ある種の日本アニメの定番のような展
開で、それは伏線もしっかりと敷かれて破綻のない展開では
あるのだが、ホラー好きの自分としてはちょっと物足りない
感じではあった。
もちろんこれが日本アニメに求められているものだし、この
展開が内外のファンに喝采されることは理解しているもので
はあるのだが、前半の雰囲気を最後まで全うしてくれたら、
それも凄い作品になったのではないかと思う。
でもそれをやっちゃったら、日本のアニメファンにはそっぽ
を向かれてしまうのかな?
作品は、6月のアヌシー国際アニメーション映画祭で併催の
世界最大級のアニメ見本市MIFA(Marché international du
film d'animation)への出展が決定しており、そこでの評価
も楽しみだ。
日本公開は8月中旬より、東京はシネリーブル池袋他で全国
順次ロードショウとなる。

この週は他に
『きらきら眼鏡』
(2014年9月紹介『ヲ乃ガワ』の製作者で、2016年『つむぐ
もの』などの犬童一利監督が、2011年1月紹介『津軽百年食
堂』などの森沢明夫による同名の小説を映画化。主人公は恋
人を事故で失って以来、人との付き合いを避けて暮らしてき
た若者。そんな彼がふとした切っ掛けで出会ったのは、心に
「きらきら眼鏡」を掛けていると称する女性だった。しかし
彼女にも秘めた苦悩があり、それが2人の出会いに影を落と
す。出演は本作で映画デビューの金井浩人と、2014年2月紹
介『そこのみにて光輝く』などの池脇千鶴。他に安藤政信、
2017年7月紹介『東京喰種』などの古畑星夏らが脇を固めて
いる。物語では「きらきら眼鏡」という発想が素晴らしい。
しかしそれが映像では表現されない。それは外連を避けたた
めと推察されるが、映画人としてここには挑戦があっても良

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06月10日(日)
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