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On the Production
by 井口健二
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■モダン・ラブ、世界でいちばん長い写真(空飛ぶタイヤ、ウタモノガタリ、エヴァ、ウインド・R、君が君で、菊とギロチン、チャーチル)
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
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『モダン・ラブ』
2010年8月紹介『アワ・ブリーフ・エタニティ』などの福島
拓哉監督による同作以来8年ぶりのオリジナル長編作品。監
督はデビュー作から前作までも同程度の時間が掛かっている
が、寡作と呼べるのかな? ただしその間には短編作品など
を撮っていたようだ。
物語の背景は、NASAが「新惑星の発見」を発表したとい
う現代。主人公は大学院で理論物理学を専攻しながら、旅行
代理店でアルバイトをしている女性。彼女は数年前に恋人を
失ったらしいが、彼女は恋人との会話を続けている。彼女は
それをイマジナリーフレンドと称していた。
そんな彼女は街角で失ったはずの恋人の姿を見掛け、慌てて
後を追って話し掛けるが、彼には怪訝な顔をされ、冷たくあ
しらわれる。その彼はパーティで彼女と再会するが、今度は
彼女の方が会った記憶はないと言う。それでも2人は付き合
い始めるが…。
一方、主人公の勤める広告代理店にデータベースにない地名
を告げる客が現れ、どの地域にあるかも判らないという客に
彼女はパックツアーを勧める。それでも客は納得し、やがて
帰国して土産を持って現れた客は「旅は満足した」と言って
くれる。しかしその土産はとんでもないものだった。
そして帰宅した彼女は、自宅のベッドで寝ている彼女自身を
発見する。
出演は、福島監督が2016年に発表した短編『LEGACY TIME』
でも共演したという稲村梓と高橋卓郎。稲村は舞台を中心に
活躍する女優で、高橋は2018年2月25日題名紹介『私は絶対
許さない』にも出ていたようだ。
他に、2012年11月紹介『ユダ』などの芳野正朝、本作の音楽
も担当する2015年10月紹介『さようなら』などの今村怜央。
さらにギタリストで、福島監督が脚本を手掛ける短編“New
Blood Future”の企画プロデューサーも務めるヤン・イメリ
ック。2016年11月13日題名紹介『バンコクナイツ』などの川
瀬陽太らが脇を固めている。
福島監督の作品では、前作に続いて強いSF志向を感じる。
しかし本作が本質的に描いているのは主人公の再生であり、
それがSF風物語の中で巧みに活かされているものだ。その
展開はファンの目からも納得できるものになっている。
因に本作は、パラレルワールドの解釈として斬新とまでは言
わないものの新機軸を打ち出しており、その解釈と展開には
かなり周到に構築されたものを感じる。物語にはいろいろな
要因が重ねられて複雑だが、基本の理論は面白いものだ。
ただそのSFテーマの部分が、僕は元々ファンだからOKだ
が、一般的にはどうなのだろう。この辺がSF嫌いの人には
難しいところかもしれない。それでもこのテーマを追い続け
てくれる監督には正しく敬意を表したいところだ。
公開は6月30日より、東京は新宿K's cinema他にて全国順次
ロードショウとなる。

『世界でいちばん長い写真』
全長145m×35.6pのパノラマ写真。ギネス世界記録にも認定
されているその写真が写されるまでを描いた誉田哲也原作、
青春小説の映画化。
主人公は知多半島の高校に通う男子生徒。写真部に所属して
いるが、何事にも意欲のない若者だ。ところがある日、従姉
の営むリサイクルショップで、360度の撮影を行うスリット
カメラを手に入れたことからその写真に魅せられて行く。
そして従姉や写真館の店主の協力も得て風景写真に始まった
撮影は、やがて全校生徒を巻き込む一大イヴェントへと発展
して行く。その過程が主人公の精神的な成長と共に爽快に綴
られる。

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05月13日(日)
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