ID:47635
On the Production
by 井口健二
[459728hit]

■クジラの島の忘れもの、ミッドナイト・サン、ウィンチェスターハウス
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※
※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
『クジラの島の忘れもの』
今年、日本とベトナムが国交樹立45周年を迎えたのを記念し
て製作された両国間の民間レヴェルでの交流を描いた作品。
時代背景は2007年、舞台は沖縄。東京から病気がちの叔母の
許に引っ越してきた主人公は、普段は快活にふるまってはい
るものの何処かに陰のある女性。そんな女性が旅行代理店に
就職し、先輩と共に営業で訪れた会社には東南アジアからの
研修生が働いていた。
そこで彼女はベトナム人の若者と出会う。そして彼からベト
ナムでは誕生日には、その日を迎えた者が産れたことへの感
謝を込めて周囲にプレゼントを渡す風習があると聞かされ、
彼女は自分の誕生日が1月17日だと告げる。
一方、営業先から研修生の修了記念旅行の企画を依頼された
彼女は、座間味島へのホエールウォッチングを提案し、先輩
と共に添乗でその島に向かうことになるが…。そこは震災で
亡くなった母親と再訪を約束した場所だった。
出演は、2014年1月紹介『偉大なる、しゅららぼん』などの
大野いと。それにミャンマー出身で小学4年の時に来日し、
ダンスヴォーカルユニット「PrizmaX」のメインヴォーカル
としても活躍中の森崎ウイン。
なお森崎は、2009年11月紹介『パレード』などに出演。さら
に2018年、スティーヴン・スピルバーグ監督『レディ・プレ
イヤー1』にはオーディションから挑戦して、準主役級に大
抜擢された。
監督は沖縄出身で、大学卒業後に東京の制作会社で短編映画
や広告映像を手掛け、帰沖後は地元で制作会社を立ち上げて
沖縄県内外の映像制作を行っている牧野裕二。また、脚本は
テレビシリーズを多く手掛ける嶋田うれ葉が担当した。
日越の国交樹立は1973年だが、その前にはヴェトナム戦争の
時代があった訳で、日本が直接参戦はしていないものの、特
に沖縄は北ヴェトナムへの爆撃機の発進基地となり、正に当
事者として機能していた。
しかし本作ではそんな歴史には全く触れずに、男女の恋愛事
情に終始している。それは今の日本政府のあり方などを考え
ると正に触らぬ神に祟りなしなのだろうが、ベトナム側はど
うなのだろう?
でもまあ本作は日本映画なのだから、その辺は理解してあげ
なければならないのだろう。なお本作は沖縄県の制作支援で
作られたものだ。
ただ映画の後半は、せっかく現地ロケをしているのだから、
もう少しベトナム各地の風物なども観たかったかな。座間味
島のホエールウォッチングだけでなく、ベトナム側でも観光
映画的な要素も入れて欲しかった。
1995年1月17日の阪神淡路大震災は、当初の何が起きている
か全く判らないという状況から、正に街が震災に遭っている
という感じで強い恐怖を覚えた。それは明らかな自然災害の
東日本大震災とは違う感覚だったと言える。
こんなことを思い出させてもくれる作品だった。
公開は5月12日より、東京は渋谷シネパレス他にて全国順次
ロードショウとなる。

『ミッドナイト・サン タイヨウのうた』“Midnight Sun”
2006年5月紹介『タイヨウのうた』のハリウッド版リメイク
作品。
主人公は、色素性乾皮症(xeroderma pigmentosum=XP)
という紫外線に当たるだけで皮膚癌を発症する難病の少女。
しかし音楽の好きな少女は昼間は出歩けないため、夕方まで
家に籠って作曲をし、夜の街角でギターを抱えてストリート
ライヴを行っている。
そんな少女は必ず日の出までには帰宅し、夜明けまでの間、
紫外線遮断のスクリーンを下ろした窓から早朝のバス停を眺

[5]続きを読む

05月06日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る