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On the Production
by 井口健二
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■イカリエ−XB1(私は絶対、聖なる、名もなき、いつだって、ミスミソウ、ブラックP、ロンドン、29歳、大和、熊野、フェリーニ、友罪)
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『イカリエ−XB1』“Ikarie XB 1”
1963年にチェコスロヴァキアで製作されたモノクロ・ワイド
のSF作品。日本では、テレビ放映と自主上映されたという
情報はあるようだが、公式には未公開だった作品が2016年に
本国で4Kレストアされ、本邦初公開される。
時代背景は22世紀後半。人類は太陽系外の生命体を探索する
ための宇宙船イカリエ−XB1を発進させる。その目的地は
アルファ・ケンタウリ星系。距離は約4.3光年で、飛行期間
は往復約15年、しかし亜光速で飛ぶことによる時間の圧縮で
船内時間は2年間だとされている。
そのため40名の搭乗員の中には、生まれくる我が子の成長が
見られなかったり、年下の妻が帰還時には年上になっている
などの状況も生じていた。そしてついに地球との交信も限界
に達し、太陽も星々の1つとなり、宇宙船は未知の大宇宙へ
飛び出して行く。
そんな宇宙船の冒険の旅が描かれる。その中では謎の宇宙船
との邂逅や、怪しげな放射線を出す暗黒星雲との遭遇なども
起きる。
原作はポーランドのSF作家スタニスワフ・レムが1956年に
発表した『マゼラン星雲 (Obłok Magellana)』とされている
が、本編にクレジットはされておらず、1960年製作、ポーラ
ンド−東ドイツ合作の『金星ロケット発進す』とは状況が異
なるようだ。
その本作の脚本と監督は児童向けのファンタシー映画などを
数多く手掛けているインドゥジヒ・ポラーク。脚本には同じ
くファンタシー映画を多く手掛けるパヴェル・ユラーチェク
が参加の他、天文学やロケット工学など各分野の科学者が顧
問を務めているそうだ。
衣装はチェコ映画の名作に多く参加しているエステル・クル
ンバホヴァー。撮影も名手とされるヤン・カリシュ。さらに
音楽は、カレル・ゼマン監督1957年『悪魔の発明』や1962年
『ほら男爵の冒険』でも知られるズデニェク・リシュカが担
当している。
出演者にもチェコ映画のベテラン級の俳優が多く名を連ねて
おり、当時の体制下では本格的な作品と言えるものだ。
プレス資料では『スタートレック』との関連性なども取りざ
たされているが。確かに大宇宙への探索というテーマは共通
するものの、1966年スタートのテレビシリーズでは、本作の
公開時にはすでに企画は進んでいると思われ、その関連性は
薄いだろう。
しかし、1968年公開『2001年宇宙の旅』との関連となると、
これはかなり際どいものだ。
特に本作の中で家族とのテレビ電話や、器具を使った運動の
シーンなどは、正しく影響が見て取れる。この他のヴィジュ
アルの面でも思い出させるシーンが何箇所もあり、僕自身が
『2001年』を生涯のベスト1としている者としても、これは
言い逃れは出来ないと思わされた。
勿論、『2001年宇宙の旅』がその他の面でも先駆的な作品で
あることは確かなのだが…。
公開は5月19日より、東京は新宿シネマカリテ他で全国順次
ロードショウとなる。
この週は他に
『私は絶対許さない』
(東大医学部卒でアメリカに留学し、トラウマ理論を学んで
きたという和田秀樹監督が、一読して衝撃を受けたという雪
村葉子の手記を映画化した作品。15歳の元旦に集団レイプさ
れた少女が、そのトラウマを抱えたままその後の人生を歩ん
で行く姿が描かれる。主演はグラビア系の平塚千瑛と女優の
西川可奈子だが、画面のほとんどが主人公のPOVという構
成で、開幕すぐの被害シーンでは、僕の後ろにいた女性2人
が退席してしまうほどの迫力だった。共演には佐野史郎、隆
大介、美保純、友川カズキ、白川和子ら実力派が並ぶ。監督
は2008年3月紹介『受験のシンデレラ』など実績があり、脚
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02月25日(日)
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