ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■ジオストーム、風の色(東の狼、ラッキー、デトロイト、あなたの旅立ち、曇天に笑う)
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『ジオストーム』“Geostorm”
1994年『スターゲイト』以降のローランド・エメリッヒ監督
作品で共同製作と共同脚本を担当してきた盟友ディーン・デ
ブリンが、長編映画では初のメガホンを取った作品。
本作の予告編を観た人は、エメリッヒの盟友と聞いて納得し
てしまうと思うが、本作は単純なパニック映画ではない。勿
論エメリッヒ張りの豪勢なパニックシーンが売りの作品では
あるが、よく観るているとむしろSF映画として周到に考え
られた作品とも言える。
物語の背景は、異常気象による災害を防止するために地球を
覆うように配置された気象制御システムが構築された時代。
各国の協力の許に構築されたシステムは、暫定的にアメリカ
合衆国によって管理されているが、暫定期間の終了後は国連
の管理下に置かれることになっている。
ところがその期限が間近になったある日、システムに不具合
が発生し、中東の砂漠の村が極寒になる災害に見舞われる。
しかしホワイトハウスはその事実をひた隠しにし、一方では
システム構築の立役者だった博士に極秘でシステム修復の任
務が与えられるが…。
続いて香港が灼熱の災害に見舞われ、そこで背後に隠された
陰謀が浮かび上る。果たしてその陰謀の目的は? 衛星軌道
の制御ステーションで修復を進める博士と、ホワイトハウス
で政治折衝に当たる博士の実弟の2人が、地球を破滅に導く
陰謀に立ち向かう。
出演は、2013年4月紹介『エンド・オブ・ホワイトハウス』
などのジェラルド・バトラー、2012年12月紹介『クラウド・
アトラス』などのジム・スタージェス、2011年4月紹介『エ
ンジェル・ウォーズ』などのアビー・コーニッシュ。
さらに2008年7月紹介『コッポラの胡蝶の夢』などのアレク
サンドラ・マリア・ララ、2005年1月紹介『香港国際警察』
などのダニエル・ウー、そしてヒスパニック系俳優のエウヘ
ニオ・デルベス。
また、エド・ハリス、アンディ・ガルシアらのベテランと、
2016年10月紹介『MICメン・イン・キャット』に出ていた
子役のタリタ・エリアナ・ベイトマンが脇を固めている。
映像的には摩天楼の倒壊や、津波、竜巻、巨大な雹など正に
ディザスターシーンのつるべ打ちといった感じだが。本作で
僕が注目したのは、宇宙ステーションとの連絡手段として登
場するスペースシャトルだ。
現実のシャトルは2011年8月の飛行を最後に運用が終ってし
まったものだが、本作の世界では2本の補助ブースターと、
赤色の巨大な外部燃料タンクを装備した機体が何度も打ち上
げられる。
それは操縦性能など、現実のシャトルでは難しい描写も登場
するが、最後のシーンで背景にずらりと並んだ機体は、宇宙
開発の一時代を担ったシャトルへの惜別の思いが込められて
いるようにも感じられたものだ。
なお脚本はデブリンと、TVシリーズ“The Librarians”な
どの製作を手掛けるポール・ギヨーの共作となっている。
その他にも宇宙ステーションの運用や、ホイール部分が止っ
た時点から無重量になる描写など、細かい点ではいろいろあ
るだろうけど、全体としてはSF的にも良く描かれている感
じがした。
一方、その対極に描かれる政治劇は、戯画化されてはいるも
のの。アメリカ合衆国の現状を見ているとあり得るかなあと
も思えるところが、面白く、且つ恐ろしいところだった。
公開は1月19日より、2D/3D、IMAX3Dでの全国ロード
ショウとなる。なおマスコミ試写は2Dで行われたが、複雑
な宇宙ステーションの構造などは3D映えがしそうだ。

『風の色』
2008年10月紹介『最強☆彼女』などのクァク・ジェヨン監督

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01月14日(日)
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