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On the Production
by 井口健二
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■見栄を張る、ワンダーストラック、空海(花は咲くか、名前のない、悪女、神さまの轍、リメンバー・ミー、ラブレス、かぞくへ、ROKUROKU)
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『見栄を張る』
2012年7月紹介『聴こえてる、ふりをしただけ』や、2017年
6月紹介『丸』などを産み出したシネアスト・オーガニゼー
ション大阪(CO2)の助成で、2016年に製作された藤村明
世監督による長編デビュー作。
本作はすでにSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2016などで上映
され、SKIPシティアワードやイタリアで開催されたWorking
Title Film Festival 2017での審査員特別賞などを受賞して
いる。
主人公は、東京で俳優を目指しているがなかなか芽の出ない
女性。売れない芸人の男性と同棲しているが、その男はひも
のような存在だ。そんな女性に故郷から唯一の家族だった姉
の急死の報せが届き、彼女は急遽帰郷することになる。
そして葬儀は彼女の喪主で行われるが、葬儀の後、シングル
マザーだった姉の息子の処遇を巡って親族の意見がまとまら
ない。そこで主人公は思わず「自分が引き取る」と口走って
しまう。でもそれは実力の伴わない見栄だった。
それでも東京へ戻る日を先延ばしにした主人公は、姉が生業
にしていた「泣き屋」という仕事の内容を知って行く。それ
は女優である主人公には簡単な仕事に思えたが…。その仕事
はただ泣いて見せるだけのものではなかった。
それと共に、姉の残した子供との交流や、主人公自身の成長
などが細やかに描かれて行く。
出演は、後で紹介する『神さまの轍』にも出ている久保陽香
と、NHK『純と愛』などに出演の子役の岡田篤哉。それに
CO2の俳優特待生で初の本格出演という似鳥美貴。主な出
演者は大阪、東京でのオーディションで選ばれている。
「泣き屋」は韓国映画などでは見たことがあるが、日本にも
同じような職業があったようだ。監督はテレビ番組でそれを
知って以来この企画を温めてきたものだが、CO2に企画を
応募した段階では、少し展開が違っていたとのこと。
それが審査員のアドヴァイスで現在のものに変わったそうだ
が、それは成功していると言える。それが監督自身の成長に
も繋がっているのは喜ばしいことだ。特に中にいろいろ盛り
込まれたエピソードが的確なのにも感心した。
また僕自身が男性の立場としては、シングルマザーの相手の
存在というのが気になってしまうところだが、その点も上手
く話が作られていた。その前後の子供の行動の描き方なども
実に巧みで素敵な作品だった。
公開は3月24日より、東京は渋谷ユーロスペース他で全国順
次ロードショウとなる。
『ワンダーストラック』“Wonderstruck”
2011年12月紹介『ヒューゴの不思議な発明』の原作者ブライ
アン・セルズニックが原作と脚本も手掛け、2003年4月紹介
『エデンより彼方に』などのトッド・ヘインズが監督した、
時代を隔てた少女と少年の物語。
2つの時代は1927年と1977年。先の時代はこの年の10月6日
に史上初のトーキー映画『ジャズ・シンガー』が公開されて
サイレント映画が終焉を迎える時であり、本作の主人公には
ちょっと辛い思いがある。因に後の時代はSFファン的には
『スター・ウォーズ』の公開年だがそれは直接関係ない。
そして先の時代の主人公は、憧れの銀幕のスターがブロード
ウェイの舞台に立つと知り、女優に会いにニュージャージー
からニューヨークを目指す。一方、後の時代の主人公は母親
が突然他界し、絵本に挟まっていた書店の栞を頼りにミネソ
タから父親の消息を追ってニューヨークに向うが…。
2人は導かれるようにマンハッタンの自然史博物館を訪れ、
そこで自らの境遇に立ち向かうための、人生の転機を迎える
ことになる。
出演は、2016年『ピートと秘密の友達』などのオークス・フ
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01月21日(日)
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