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On the Production
by 井口健二
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■ゲット・アウト
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『ゲット・アウト』“Get Out”
黒人コメディアンのジョーダン・ピールが製作、脚本、監督
を務めるホラー作品。
主人公は白人の恋人を持つ黒人のカメラマン。そんなカップ
ルが結婚を決め、彼女の実家に挨拶に行くことになる。その
時、主人公は肌の色の違いを危惧するが、彼女は「父は3選
のオバマにも投票したはず」と一蹴する。
しかしその実家に向かう途中で主人公は、白人警官の横柄な
対応にも遭遇する。そして到着した彼女の実家は、周りを森
に囲まれた大邸宅だが、主人公はそこに黒人の使用人がいる
ことに違和感を覚える。
それでも彼女の両親は大歓迎で、やがて近隣の人も集まった
パーティも開かれるが…。主人公はそこに招かれた少数の黒
人の姿にさらに違和感を深めていた。そしてその違和感は恐
怖へと繋がって行く。
出演は、2014年『キック・アス』続編などのダニエル・カル
ーヤと、コメディエンヌのアリソン・ウィリアムズ。他に、
2013年『キャプテン・フィリップス』などのキャサリン・キ
ーナー、2013年12月紹介『ウォルト・ディズニーの約束』な
どのブラッドリー・ウィットフォードらが脇を固めている。
物語の成り行きは、後半のアイデアを先に思いついて、そこ
から前半が作られたと思われるが、いずれにしてもアメリカ
で消えない人種差別へのメッセージを込めた作品であること
は間違いない。
しかし本作では、逆に黒人の頑健さなどが強調されて優越主
義が見え隠れするのはご愛嬌だ。しかも監督は当初、結末で
主人公が逮捕されるヴァージョンを撮影したが、公開直前に
変更したのだそうで、その辺の思惑も面白いところだ。
もっとも一緒に試写を観た知人からは、「最期に主人公が他
の黒人を勧誘していたらもっと面白い」という発言が出て、
それは本当に凄いと思わされた。でもこの監督ではそれはな
さそうだ。
因に上記の当初の結末は、DVDには収録されるとのこと。
それにしても、アメリカの人種差別の根の深さが痛いほどに
見える作品だ。
なおコメディアンの監督がデビュー作でホラーを撮ったこと
に関しては、監督自身が「コメディもホラーもいろいろな要
素が絡み合うことでは同じ」と語ったそうで、この意見には
賛同するところだ。
公開は10月27日より、東京はTOHOシネマズシャンテ他にて、
全国ロードショウとなる。
この週は他に
『汚れたダイヤモンド』“Diamant noir”
(宝石の研磨で財を成した一族。しかしそこには兄弟の確執
があった。主人公の父親は研磨中の事故で指を失い、そのた
め一族を追い出される。その息子は強盗団に入り、一族への
復讐の時を伺う。ところが手引きのために一族の中に入り、
家族として迎えられた主人公に葛藤が生まれる。物語は複雑
だが、それなりに整理されて中々の復讐劇が描かれていた。
出演は今年5月14日「フランス映画祭」で紹介『ポリーナ、
私を踊る』などのニールス・シュナイダーと、2010年7月紹
介『ソルト』などのアウグスト・ディール。監督は俳優でも
あるアルチュール・アラリが務めた。公開は9月中旬、東京
は渋谷ユーロスペース他で全国順次ロードショウ。)
『茅ヶ崎物語』
(加山雄三やサザン・オールスターズを誕生させた神奈川県
茅ヶ崎市の音楽事情を、大手レコード会社に勤務した同市在
住の人物が検証するドキュメンタリーと、彼が企画した桑田
佳祐初ライヴの様子を神木隆之介らの出演で再現ドラマにし
て綴った作品。ただし本作では別の学者が歴史を紐解くが、
その説は日本の海岸線の街の全てに共通するもので、それと
茅ヶ崎音楽との繋がりは意味不明。ラストの映像を見るに、
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08月06日(日)
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