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On the Production
by 井口健二
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■ローマ法王になる日まで、ハイヒール こだわりが生んだおとぎ話、怪物はささやく
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『ローマ法王になる日まで』
“Chiamatemi Francesco - Il Papa della gente”
現ローマ法王フランシスコ(本名ホルヘ・マリオ・ベルゴリ
オ)が、2013年3月にその聖職に選ばれるまでを描いたドラ
マ作品。
映画はヴァチカンらしき街並みを背景にした建物の屋上で、
若くはない男性が洗濯物を干しているところから始まり、現
法王が質素で、庶民的な人物であることが強調される。
それにしても法王の足跡というと通常は地元での布教活動ぐ
らいしか思い浮ばないものだが、史上初のアメリカ大陸から
の法王で、しかもその出身国がアルゼンチン。その活動期間
が軍事政権下というのは、かなり様相が異なってくる。
実際に作品の中では、ベルゴリオがイエズス会アルゼンチン
管区長であった当時の、軍事政権による2人の司祭の拉致、
拷問事件も描かれ、その際のベルグリオの行動なども示され
ている。
そしてそれを切っ掛けのように、当時の軍事政権下で多くの
犠牲者を出した白色テロの実態が描かれて行く。
出演は、ブエノスアイレス生まれで、2004年『モーターサイ
クル・ダイアリーズ』などのロドリゴ・デ・ラ・セルナと、
チリ出身で2012年10月28日付「第25回東京国際映画祭」で紹
介『NO』などのセルヒオ・エルナンデス。さらにアルゼン
チン出身のメルセデス・モラーン、ムリエル・サンタ・アナ
らが脇を固めている。
脚本と監督は、2013年10月26日付「第26回東京国際映画祭」
で紹介『ハッピー・イヤーズ』などのイタリアのダニエレ・
ルケッティ。ローマ市内のヴァチカン市国が舞台ということ
での作品だが、監督自身は無信仰だそうで、そんな宗教的に
は中立の目が的確に人物を捉えているようだ。
アルゼンチンの軍事政権下に関しては、2016年6月12日題名
紹介『エル・クラン』などでも描かれていたが、隣国チリの
状況が2016年6月紹介『コロニア』や、7月紹介『チリの闘
い』、上記の『NO』などで紹介されているのに比べると少
なく感じる。
その理由は判らないが、本作で描かれているような残虐行為
の数々が、映像化に二の足を踏ませるのかもしれない。それ
ほどの惨状が描かれている作品だ。
因に本作の情報を海外のデータベースで調べると、上映時間
が98分と記載されている。これに対して日本公開版の上映時
間は113分。これがディレクターズカットということだが、
海外では15分もカットされて上映されているようだ。
そのシーンがどこなのかは明らかではないが、日本ではその
全貌を観ることができる。イタリア人の監督が何故ここまで
描かなければならなかったのか、その気持ちを受け止めたい
作品だ。
公開は6月3日より、東京はヒューマントラストシネマ有楽
町他で全国順次ロードショウとなる。
『ハイヒール こだわりが生んだおとぎ話』
母国で映画を学んだ後に19歳で来日したという27歳の韓国人
監督による初の商業作品。なお作品は時短映画と称する上映
時間30分足らずのものだが、1本立てで公開される。
人類が平和と地球環境保全のためには欲望を封じるしかない
と考え、自らアンドロイドと化す道を選んだ遠未来のお話。
しかし長い年月が経ち一部に欲望が甦ってしまう。そして主
人公は人々に完璧な靴を提供しようと願う靴職人。
そんな主人公の許にハイヒールを求める客がやって来る。そ
の客の足を正確に採寸し、様々な試行錯誤の末に主人公は完
璧な靴を作り上げる。ところがそのハイヒールは受け取りに
きた客の足に少し合わない。
その不具合の理由を求めて、主人公は再びハイヒールに向き
合うことになるが…。
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04月23日(日)
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