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On the Production
by 井口健二
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■ハロルドとリリアン、スプリット、リトル京太の冒険
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『ハロルドとリリアン』
“Harold and Lillian: A Hollywood Love Story”
幾多のハリウッドの名作、大作に関りながら、エンディング
ロールには名前が登場しない。しかし多数の映画人に敬愛さ
れたカップルを紹介するドキュメンタリー。
ハロルドは東部のユダヤ人名家の息子。リリアンもユダヤ人
だが両親はなく孤児院で育った。そんな2人はハロルドが第
2次大戦から凱旋の後に出逢うが、家柄のないリリアンとの
仲は一族に大反対される。
一方、戦地で画才を認められたハロルドはその才能を活かし
たいと思い、カリフォルニアでその機会を狙おうと考える。
そして西海岸に移住したハロルドは、列車の切符を同封した
手紙でリリアンに一緒に暮らすことを提案する。
斯くしてハリウッドで暮らし始めた2人は、3人の息子を授
かる一方で、ハロルドは自筆の絵画を映画会社に持ち込み、
偶然もあってコロムビア映画に採用される。そこで絵コンテ
の技術を学んだハロルドは徐々に頭角を現して行く。
しかし2人の暮らしは満帆ではなかった。実は第1子が自閉
症と診断され、そのセラピーにリリアンは疲れ切る。このた
め虚無感に陥ったリリアンに、ハロルドは映画会社での調査
のヴォランティアを勧める。
それは日本映画で言う時代考証のような映画製作の許になる
情報を調査し、収集する仕事だった。そしてリリアンもまた
その仕事で頭角を現して行く。
そんな2人が関ったのは、1950年代では『泥棒成金』『知り
すぎていた男』『十戒』『ベン・ハー』『地底探検』。60年
代では『スパルタカス』『ウエスト・サイド物語』『史上最
大の作戦』『鳥』『クレオパトラ』『卒業』『ローズマリー
の赤ちゃん』。
70年代は、『イージー・ライダー』『屋根の上のバイオリン
弾き』『ジョニーは戦場へ行った』『エクソシスト』『ロッ
キー』『1941』『スター・トレック』。80年代は、『レ
イジング・ブル』『ブレードランナー』『ライトスタッフ』
『ビバリーヒルズ・コップ』などなど。
しかもこの中で紹介される『鳥』や『卒業』などのハロルド
の絵コンテは、正に詳細なカット割りまで示されたもので、
特に名場面が記された絵コンテには、監督は何をしたのかと
いう考えを持つほどのものになっている。
またリリアンが語る『屋根の上のバイオリン弾き』の衣装に
関るエピソードは、これこそリサーチャーの神髄と言いたく
なるものだった。こんな2人にはハリウッドから特別な賛辞
も贈られている。
この他にも、ハロルドがプロダクションデザイナーとしてオ
スカー候補になった『スター・トレック』に関るエピソード
は、ファンならニヤリとしてしまうものだ。そんな2人の愛
すべき人生が紹介される。
映画ファン必見の作品と言えそうだ。
公開は5月27日より、東京はYEBISU GARDEN CINEMA他にて、
全国順次ロードショウとなる。
『スプリット』“Split”
2004年8月紹介『ヴィレッジ』などのM.ナイト・シャマラ
ン監督による最新作。本編の前に監督からの「結末は絶対に
喋らないでね!」というコメントが上映される。
始まりは女子高生の誕生日パーティ。そこに集まった3人は
主賓の父親の車で帰ろうとする。ところが運転席に乗り込ん
できた見知らぬ男が催眠スプレーを吹き掛け、気が付くと地
下室のような場所に閉じ込められていた。そして男が現れ、
彼女らを拉致したと告げる。
ところがその男、次に現れた時には女装して話し方も違って
いる。その後も次々にいろいろな人格で現れ、その時々で彼
女らに対する要求も違っているようだ。こうしてチラシに従
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03月12日(日)
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