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On the Production
by 井口健二
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■夜は短し歩けよ乙女/夜明けを告げるルーのうた、いぬむこいり
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『夜は短し歩けよ乙女』
『夜明けを告げるルーのうた』
2004年公開の長編デビュー作『マインド・ゲーム』で文化庁
メディア芸術祭アニメーション部門大賞を受賞した湯浅政明
監督による新作2作品が相次いで公開される。
まず1本目は、累計発行部数が130万部を超えているという
森見登美彦原作の映像化。京都を舞台に一夜の冒険物語が描
かれる。
登場するのは気弱な大学生(先輩)と後輩の黒髪の乙女。先
輩は乙女を気に入っているが、気弱なためにそれを告白する
ことができない。そこで先輩はなるべく乙女の目に留まるよ
うにする「ナカメ作戦」を実行していた。
そんなある日、先輩は乙女の思い出の絵本の情報をキャッチ
してその絵本を古本市で見つけ出し、彼女にプレゼントしよ
うと思い立つ。しかしそれは並大抵の努力だけでは実現でき
ないことだった。
一方、乙女は実はかなりの酒豪で、面白いことを探して夜の
京都を歩く内、不思議な冒険に巻き込まれる。そこには学園
祭を巡る主導権争いやゲリラ演劇を実行するグループ、さら
には謎の大富豪などがいて…。
声優は、先輩役にいま評判の星野源が初単独主演、乙女役は
声優賞を数多く獲得している花澤香菜。他に神谷浩史、中井
和哉、甲斐田裕子、吉野裕行。さらにお笑いトリオ・ロバー
トの秋山竜次、ミュージカル女優の新妻聖子らが脇を固めて
いる。
京都は最近行く機会が多くて、それなりの土地勘も出来てき
たが、描かれる風景や、さらにテーマの一部が古書に纏わる
ものだったり、ホルヘ・ルイス・ボルヘスを思わせるところ
もあるなど、僕には楽しめる作品だった。
そして2本目は、湯浅監督初のオリジナル脚本による作品。
物語はとある漁港を舞台に、人魚伝説に纏わるかなりファン
タスティックなストーリーが展開される。
登場するのは、両親の離婚で鬱屈した生活を送っている男子
高校生。彼はそんな気持ちをネットに自作の曲をアップする
ことで解消していたが、その正体を学友に見破られ、彼らの
バンドの練習に付き合わされる。
その練習は港の沖の人魚島で行われていたが、彼らの練習が
始まると人魚のルーが現れて楽しそうに踊り始めた。そして
主人公はルーと行動を共にする内、徐々に自分のモヤモヤが
消えて行くのを感じていたが…。
彼らの暮らす町にとって人魚は災いをもたらす存在だった。
それは悪気があってのことではなかったのだが。
声優は、共に子役出身の下田翔大と谷花音。さらに柄本明、
柔道家の篠原信一。声優の寿美菜子、斉藤壮馬、お笑い芸人
千鳥の大悟、ノブらが脇を固めている。
アニメは日本の文化みたいな風潮だが、最近の大ヒット作は
いずれも実写でも出来るものをわざわざアニメーションにし
ている感が拭えず、手塚治虫さんなら眉を顰めるだろうとい
う思いがしていた。
それに対してこの2作は、いずれもこれぞアニメーションと
いう感じの作品で、これなら手塚さんも認めるのではないか
な。そんな観ていて実に心地の良い作品だった。
公開は1本目が4月7日より、2本目は5月19日より、いず
れも全国ロードショウとなる。
『いぬむこいり』
プロデューサーとして鈴木清順監督の諸作やテレビ特撮シリ
ーズ『鉄甲機ミカヅキ』なども手掛けた片嶋一貴脚本・監督
による上映時間245分、ファンタシーの要素もある作品。
主人公はアラフォーの女小学校教師。彼女の実家には、武勲
を挙げた忠犬が姫を娶ろうとし、それを受け入れた姫と共に
島流しになったという言い伝えがあり、彼女自身も人の悪意
を嗅ぎ取る能力を持っていた。
しかし教室で生徒の悪意に満ちた悪戯に耐え切れず、さらに
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03月19日(日)
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