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On the Production
by 井口健二
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■コロニア、ハリウッドがひれ伏した銀行マン、死霊館 エンフィールド事件
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『コロニア』“Colonia”
『ハリー・ポッター』シリーズのハーマイオニー役でお馴染
みのエマ・ワトソンが主演する1970年代の南米チリが舞台の
実話に基づくとされる作品。
ワトソンが演じるのはルフトハンザ機に乗務するキャビンア
テンダント。折しも1973年9月11日、彼女の搭乗便がチリの
首都サンティアゴの空港に到着。4日後の帰国便を待つ間、
彼女は現地に住むドイツ人で恋人の男性の許にやってくる。
その恋人は世情が混乱する中で、社会主義のアジェンデ政権
を支持する活動家でもあった。
そんな逢瀬を楽しんでいた2人の部屋に突然1本の電話が架
かってくる。それは軍事クーデターが勃発し、アジェンデ派
の活動家が次々に逮捕されているというものだった。そこで
取るものも取り敢えず部屋を出た2人だったが、警察の動き
は早く、恋人は拉致されて救急車に載せられ、何処へか連れ
去られてしまう。
一方、彼女自身は解放され、行方不明の恋人を探して行動を
開始する。そして得た手掛かりは、恋人が秘密警察への関与
が噂されるカルト集団コロニア・ディグニダに連れ込まれた
というものだった。しかもそのコロニアからは生きて出てき
た者はいないと言われていた。そのコロニアに、彼女は恋人
救出のため向かうことにするが…。
共演は、2012年7月紹介『コッホ先生と僕らの革命』などの
ダニエル・ブリュール、2010年7月紹介『ミレニアム』など
のミカエル・ニクヴィスト。
他に、2001年『トゥームレイダー』出ていたというリチェン
ダ・ケアリー、2011年5月紹介『ハンナ』に出ていたという
ヴィッキー・クリープス、本作が映画デビュー作のジャンヌ
・ウェルナーらが脇を固めている。
脚本と監督は、ダニエル・ブリュールらも出演の2009年製作
『ジョン・ラーベ 南京のシンドラー』などのフロリアン・
ガレンベルガーが担当した。
実は、試写の前には監督の名前をチェックしておらず、僕は
試写状に大きく書かれたワトソンの名前だけで勝手に作品を
想像していた。しかも映画の始まりでは、ちょっとレトロな
キャビンアテンダントのユニフォームに身を包んだワトソン
が登場するなど、楽しげな気分が溢れていたものだ。
ところが物語が始まると、これはもう生半可な作品ではない
と覚悟を決めることになった。登場のコロニア・ディグニダ
については、2012年10月28日付「第25回東京国際映画祭」で
紹介した『NO』(日本公開2014年)でも言及されていたと
思うが、本作ではその驚愕の実態が描かれている。
そこでは被疑者の生命の危険も考慮しない残虐な拷問なども
平然と行われていたとされるものだ。とは言うものの本作は
そこからの脱出劇を描くもので、そこにはアクションやサス
ペンスも盛り込まれた作品になっている。その辺のバランス
の巧みな作品とも言えるだろう。
それにしても、ワトソンが何故このような作品にとも思える
が、実は彼女は大学卒業後に1年間女優業を休業し、国連の
フェミニズム活動の広報大使なども務めていたのだそうで、
その辺の問題意識がこの作品を選択させたということはあり
そうだ。因に本作は女優復帰第1作とされるものだ。
かなり強烈な内容の作品だが、独裁政権の恐怖はいつの時代
にもあるものだし、そんなワトソンの問題意識を汲んであげ
たくなる作品だ。
公開は9月17日より、東京は角川シネマ新宿、ヒューマント
ラストシネマ渋谷他で、全国ロードショウとなる。
『ハリウッドがひれ伏した銀行マン』“Hollywood Banker”
『ターミネーター』『ランボー』『薔薇の名前』『プラトー
ン』『ダンス・ウィズ・ウルブス』…これらの作品の製作を
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06月19日(日)
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