ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■不思議惑星キン・ザ・ザ、リトル・ボーイ、MARS(マース)、神のゆらぎ
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『不思議惑星キン・ザ・ザ』“Кин-дза-дза!”
1986年に旧ソビエト連邦で発表され、日本では1991年に公開
されたカルト的評価の高いコメディSF作品。
発端は1980年代の冬のモスクワ。1人の若者が異星人と名の
る男を発見し、相談した男性と共にその男の持っていた空間
移動装置で砂漠の星キン・ザ・ザに飛ばされてしまう。その
ため2人は地球に帰るための方策を練り始めるが…。
その星は資源が枯渇しかかっており、水やマッチ棒が貴重な
資源とされている。そして人間そっくりの住民は支配階級と
被支配階級とに大別され、そんなディストピア的な背景の中
で、風刺ともとれる物語が展開される。
一応風刺と書いたが、当時のソ連で公認され公開された作品
であり、あまりあからさまな体制批判のようなものはない。
でも当時のソ連国内では、登場人物たちの口調が真似される
ほどの一種の社会現象にもなった作品のようだ。
それは1991年に公開された日本でも一部では話題にはなって
いるが、どこまで内容が理解されて評価されたのかは定かで
はない。いわゆるカルト作品の部類に入るものだ。ただし、
そんな作品が多い中ではしっかりと評価は残っている。
でそんな作品を今観ると、最近の戦闘や犯罪まがいの話ばか
りの状況の中では、ふんわりしたムードがよろしいかな。今
年3月紹介した園子温監督の『ひそひそ星』が、『2001年』
『ソラリス』よりはこちらだったなとは思わされた。
ちょっとした小道具なども、今の時代にはない味わいを感じ
るし、背景はただの砂漠なのだが、これはこれで最近の作品
にはない雰囲気を持っている。これらは今の時代にも欲しい
と思わせる作品だ。
出演は、1965年のヴェネチア映画祭で審査員特別賞を受賞し
た『私は20歳』などのスタニスラフ・リュブシン。他にユー
リ・ヤコブレフ、1971年『遠い日の白ロシヤ駅』などのエフ
ゲニー・レオーノフ、現在は監督に転身したレベン・ガブリ
アーゼらが脇を固めている。
脚本と監督は、1977年モスクワ国際映画祭で金賞を受賞した
『ミミノ』などのゲオルギー・ダネリヤ。スタッフ・キャス
ト共に中々の陣容と言える作品だ。
公開は8月20日より、ディジタルリマスターによる作品が、
東京は新宿シネマカリテにてレイトショーされる。
『リトル・ボーイ 小さなボクと戦争』“Little Boy”
第2次世界大戦中のアメリカ本土の田舎町を舞台にした少年
の成長ドラマ。
主人公はカリフォルニア州の山を臨む海辺の町に両親と兄と
住む少年。体格は小柄でリトル・ボーイとあだ名され、いじ
めの対象にもなっている。そんな少年の親友は、いつもやさ
しい父親だったが…。
戦火が激しくなる中、ごく普通の若者の兄が偏平足のために
徴兵審査に落ち、代わりに父親が戦地に向かうことになる。
そしてフィリピン戦線に向かった父親が行方不明になってし
まう。
一方、その町にアメリカへの忠誠を誓って収容所から解放さ
れた1人の日系人が現れる。しかし町民の目は当然のように
厳しかった。そして主人公も兄と共に日系人の家に嫌がらせ
をしてしまう。
それに対して少年の通う教会の神父は、父親を取り戻す奇跡
を起こすための7つの試練を少年に課す。そこで少年は試練
をひとつづつクリアして行くが、その項目の一つは日系人の
男性と仲良くなることだった。
という内容でこの題名は、特に前の週に『いしぶみ』という
作品を観た直後では、これはかなりの危惧を持って試写会に
臨んだものだ。しかし作品は、そのことも踏まえながら実に
見事に物語を展開させて行く。
主演は、2003年生まれで、2008年からテレビ出演を始めたと
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06月05日(日)
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