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On the Production
by 井口健二
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■LAMBERT & STAMP、復活、ラザロ・エフェクト、心霊ドクターと消された記憶
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『LAMBERT & STAMP』“Lambert & Stamp”
ケン・ラッセル監督の1975年作品『トミー』の原作アルバム
などで知られる英国のロックバンドThe Whoの軌跡を描いた
ドキュメンタリー。
このバンドに関しては2008年9月に『ザ・フー:アメイジン
グ・ジャーニー』という作品も紹介しているが、本作は彼ら
の誕生に関った2人のマネージャーの姿から追ったものだ。
作品は、主にはメムバーのピート・タウンゼントと元マネー
ジャーのクリス・スタンプへのインタヴューに沿うもので、
そこに当時の映像などが挿入される形式になっている。
そこにはメムバー間の諍いやメムバーとマネージャーとの確
執なども見えてくるが、全体には思い出話であり、ちょっと
ノスタルジックな温かさも感じられるものだ。
そのマネージャーはクリスとキット・ランバート。ランバー
トは現代音楽家の息子でハーバード大学を卒業、その後にパ
リの映画学校に通ったというセレブ。
一方のスタンプは父親がタグボートの船長という下層階級の
出身だが、実は性格俳優テレンス・スタンプの実弟で、兄の
伝手で映画スタジオで働いていた。
そんな2人が出会い映画について語り合う内にあるアイデア
が生まれる。それは無名のバンドを育て上げ、その軌跡を映
画化するというものだ。
斯くして2人はライヴハウスを巡り、2人のアイデアに合致
するバンドを探すのだが…。見つけたのはメムバーの容姿も
いまいちでテクニックもあまりないバンドだった。
しかしそのバンドと契約した2人は、映画の現場で得た収入
をつぎ込みながらバンドを育てて行く。そしてバンドは英国
3大バンドの一つと呼ばれるまでになる。
しかしランバートとスタンプの夢見た映画が実現することは
なかった。そんなバンドとマネージャーとの紆余曲折が描か
れて行く。
そのランバートとスタンプについては、THe Whoの日本語版
ウィキには記載がなかったが、英語版では彼ら自身の項目も
あり、そういうレヴェルの人物だ。
しかし本作を観ると2人がThe Whoに注いだものの大きさが
判るし、2人がいてこそのThe Whoであったことも理解でき
る。そのことが見事に描かれた作品だ。
それはThe Whoのファンにはバンドの来歴を知る上で貴重な
作品だが、映画ファン的には映画版『トミー』ができるまで
の経緯も面白く見られる作品だった。
そしてさらにSFファン的にはロック・オペラの第2弾とし
て企画され、英語版ウィキにはScience fictionと紹介され
る“Lifehouse (rock opera)”のことも気になるものだ。
それについてランバートは「超常的過ぎた」と語っているも
のだが、1969年に発表された『トミー』に続いてその作品が
完成していたら、それはSF史にも関ったかも知れない。
そんないろいろなものが見えてくる作品だ。
監督のジェイムズ・D・クーパーは監督は初のようだが、長
年撮影監督などで業界にいた人のようで、温もりのある視点
が本作を心地良い作品に仕上げている。
公開は5月21日より、東京は新宿K's Cinema他で、全国順次
ロードショウとなる。
『復活』“Risen”
ソニー・ピクチャーズの配給で、キリスト教を題材にした映
画3作品を連続公開する内の第1弾。
物語は毎年3〜5月に行われるキリスト教の祝祭イースター
(復活祭)の許となるイエスキリストが処刑されて3日後に
復活したとされる出来事に基づくもので、本作ではその物語
を処刑に関ったローマの百人隊長の視線で描いている。
それは自らが槍で止めを刺し、墓所に収めた後にその入り口
を封蝋で閉ざしたイエスキリストの遺体が、封蝋を破壊して
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04月17日(日)
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