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On the Production
by 井口健二
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■ひそひそ星、探偵ミタライの事件簿−星籠の海−、スクール・オブ・ナーシング、ズートピア
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『ひそひそ星』
2002年2月紹介『自殺サークル』などの園子温製作・脚本・
監督によるSF作品。
物語は、人類が一度は大宇宙に進出し、その後に衰退を始め
たという時代が背景。宇宙の中で意識を持って行動する存在
の大多数は人工知能を備えたアンドロイドであり、わずかに
残った生物の人類はその庇護の許に暮らしている。
そんな時代に宇宙船を駆って行動している主人公は、もちろ
ん人間ではないアンドロイド。そして女性型アンドロイドの
主人公が行っているのは、依頼された品物を宇宙の各所に暮
らす人類に届ける宅配便の仕事だ。
しかし中古の宇宙船は操縦システムが不調らしく、時々訳の
判らない理由で進路の変更を要求してきたりする。それでも
何とか仕事を全うしようとする主人公だが、運んでいる荷物
の数はなかなか減らなかった。
こうして“彼女”は様々な星を訪ね歩き、いろいろな環境で
暮らす滅びゆく人類の最期を見聞して行く。
主演は、監督夫人であり本作の製作も務める2008年11月紹介
『プライド』などの神楽坂恵。他に、ミュージシャンの遠藤
賢司、子役の池田優斗、老人役の森康子。さらに福島県双葉
郡浪江町、富岡町、南相馬市の人たちが出演している。
映画のかなりの部分が双葉郡の避難地域で撮影されていて、
その惨状を写した映像は、ある種ドキュメンタリーのような
ものにもなっている。実は同時公開される監督自身を描いた
ドキュメンタリー『園子温という生きもの』も観せて貰った
が、監督自身にもその意識は高いようだ。
そんな意味合いも込められた作品だが、SF映画としては、
『2001年宇宙の旅』や『ソラリス』に通じるかな? 静謐な
中で淡々と物語が進んで行くタイプの作品だ。そして全体で
は人類の行く末が傍観者の目で語られて行く。
それはある種のディストピアの様相も持つけれど、それでも
静かに余生を送っているような感じもするものだ。ただそれ
が避難地域の実景を背景として描かれると、それには遣る瀬
無さも倍加してしまう。そこはSFではないものだ。
まあいろいろ評価は分かれてしまう作品だとは思うが、SF
的なオマージュはいろいろ感じられたし、SF映画としては
それなりに観るべきものは感じられる。それが監督の前作の
『ラブ&ピース』と違った趣なのにはほっとした面もある。
造形などには監督の拘りもあるような感じもして、それはそ
れで面白くも観られた作品だ。
公開は5月14日より、東京は新宿シネマカリテ他にて、全国
ロードショウとなる。

『探偵ミタライの事件簿−星籠の海−』
ミステリー作家の島田荘司が1981年デビュー作で誕生させた
探偵御手洗潔シリーズの最新刊で、2013年に刊行された小説
の映画化。
物語の始まりは山間に落ちる滝。その滝壷で若い夫婦が尋常
でない状態で杭に縛られて発見され、その脇には赤子の死体
が浮かんでいた。
一方、新たな事件への出馬のない脳科学者御手洗潔の許に、
女性編集者が怪奇な事件のファイルを持って現れる。その中
から瀬戸内海の島に連続して打ち上げられた死体の謎に興味
を示した御手洗は、早速その島を訪れるが…。
瀬戸内の複雑な海流のシミュレーションから、死体が投棄さ
れた場所を広島県福山市と割り出した御手洗は、県警の刑事
との連携の許、その謎の解明に乗り出す。そして飲み屋で聞
いた漁師の言葉にも興味を持つ。
これらの情報の断片が御手洗の頭脳の中で組み合わされ、壮
大な事件を解明へと導いて行く。
主演は、昨年放送されたテレビドラマでも御手洗に扮し、原
作者の指名だという玉木宏。共演は、2012年5月紹介『スー

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03月06日(日)
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