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On the Production
by 井口健二
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■スキャナー、すれ違いのダイアリーズ、追憶の森、SUNSET STRIP
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『スキャナー』
『ALWAYS三丁目の夕日』シリーズやテレビの『相棒』なども
手掛ける古沢良太のオリジナル脚本で、人が触った物や居た
場所に残った思念を捉える特殊能力(スキャニング)を持つ
人物を主人公にした多分SFの範疇に入ると思われる作品。
物語の始まりはピアノ教師の失踪。しかし大人の失踪は警察
も取り合ってはくれない。そんな事件が芸能プロダクション
に持ち込まれる。というのも、その事務所に所属するお笑い
コンビがスキャニングを売り物にしていたからだ。
ところがその芸人は何度か飛んでもない真実を言い当てたた
めに芸が続けられなくなり、さらに極度の人間不信に陥って
いた。それでも教師の教え子だった少女の真剣な眼差しに、
遂には現場に向かってしまうのだが…。
その捜査は恐ろしい連続殺人事件へと繋がって行った。
出演は、2012年8月紹介『のぼうの城』などの狂言師の野村
萬斎と、2011年10月紹介『月光ノ仮面』などの宮迫博之。そ
れに2014年『イン・ザ・ヒーロー』などの杉咲花。
さらにジャニーズ・関ジャニ∞の安田章大、2013年12月紹介
『小さいおうち』などの木村文乃。ちすん、梶原善、風間杜
夫、高畑淳子らが脇を固めている。監督は、2011年3月紹介
『ポールダンシングボーイ★ず』などの金子修介。
野村は初めての現代劇への出演だそうだが、かなりエキセン
トリックな役柄を嫌味なく、それなりの雰囲気を醸しながら
演じている。しかも宮迫とのコンビネーションも中々に良い
感じだった。
そしてお話では、このスキャニングという能力が単純に残留
思念を読み取るだけでなく、能力を持つ者への負担やさらに
様々なトリックを絡めるなど、SFファンとして納得できる
描き方になっていた。
実際、この特殊能力にどれほどのポピュラリティがあるのか
判らないが、本作ではそのSF的な説明も巧みで、さらにこ
こからの発展形も期待できる展開になっていた。正直、続編
も期待したくなる作品だ。
公開は4月29日より、全国ロードショウとなる。
金子修介監督の作品と言うことでは、観る前には一抹の不安
もあったが、本作に関しては全く問題を感じなかった。それ
は多分脚本の良さにもあるのだろうが、それをストレートに
演出している点も好感だった。
それにしても今年は、日本映画のSF作品に次々秀作が登場
して嬉しい限りだ。
『すれ違いのダイアリーズ』“คิดถึงวิทยา”
タイの辺境で水上に建てられた小学校を舞台に、その小学校
で学ぶ生徒たちとそれぞれ曰くのある男女の教師を巡って、
極めて巧みに描かれたドラマ作品。
1人目は優秀な理系の女教師だが、信念を曲げることが嫌い
で腕に入れたタトゥーを消すことを拒否し、都会の小学校か
ら水上の分校に転勤させられる。そしてここでも貧しい家庭
の父兄と対立もするが、生徒の成績は向上させる。
2人目はあまり優秀とは言えない体育系の男教師。彼は生徒
たちの教育の方針も立てられずに初日から立ち往生するが、
そんな彼が女教師の残した日記帳を見つける。そこには彼女
が迷いながら進めた教育の記録が残されていた。
そして彼はその日記帳を手掛かりに生徒たちの教育を進めて
行くことになり、いつしかその日記を通じて彼女の存在を身
近に感じるようになって行くが…。水死体の漂着や嵐の来襲
など様々な出来事が学校を脅かす。
主演は、オーディション番組の出身でタイでトップクラスの
人気を誇り本作で映画デビューを果たしたスクリット・ウィ
セートケーオと、30作以上のテレビドラマ及び20作以上の映
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02月28日(日)
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