ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■未体験ゾーンの映画たち2016(ロスト・パトロール、スティンガー、コインロッカーの女、ディスクローザー)
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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未体験ゾーンの映画たち2016
『ロスト・パトロール』“A Estrada 47”
第2次世界大戦でヨーロッパ戦線に従軍したブラジル軍兵士
を描き、リオデジャネイロ国際映画祭で主演男優賞と編集賞
を受賞したドラマ作品。
第2次世界大戦中、ドイツとイタリアの艦船に自国の商船を
襲撃されたブラジルは連合軍への参加を決断、25,000人を超
える若者がヨーロッパ戦線へ送られたそうだ。そんな彼らが
着任したのは冬の北部イタリア。南国育ちの若者たちを雪の
降りしきる極寒の世界が待ち受けていた。
しかも突然の敵襲に遭い本隊から逸れてしまった主人公たち
の部隊は、彼らの行動が脱走ではないことを証明するため、
本隊に先行してその進撃路に敷設された地雷を撤去すること
になる。そこにイタリア軍の脱走兵や負傷したドイツ軍人の
捕虜が加わり、死と隣り合わせの任務が遂行されて行く。
出演は、2008年『ファヴェーラの丘』などのダニエル・デ・
オリベイラ、ラッパーで2011年11月紹介『エリート・スクワ
ッド』などのThogun。さらに2007年5月紹介『イタリア的、
恋愛マニュアル』などのセルジオ・ルビーニらが脇を固めて
いる。
脚本と監督は、ドキュメンタリー映画出身のビセンテ・フェ
ラッツが担当した。
第2次世界大戦関連のブラジルに関しては、終結時の日系人
社会の混乱などは伝わっているが、実際に兵士がヨーロッパ
に出兵したとは知らなかった。しかしその事実関係の記録が
ほとんど残っていないというのも、本作に描かれている通り
なのだろう。
そんな日本人の知らない歴史を教えてくれるのも映画の役割
と思えるものだ。ただ映画の字幕で「枢軸国への参戦」とあ
るのは、「枢軸国との闘いへの参戦」と明確にすべきではな
いかな。字幕のままでは枢軸国側に参加したようにも取れて
誤った認識になってしまいそうだ。
公開は2月2日より、東京はヒューマントラストシネマ渋谷
他でロードショウとなる「未体験ゾーンの映画たち2016」の
1本として上映される。

『スティンガー』“Скольжение”
モスクワ郊外の闇社会を舞台にしたロシアン・ノアールとで
も呼べそうな作品。
開幕は郊外の住宅を包囲する警察隊。麻薬流通監督庁と連邦
保安庁(F.S.B)の共同作戦で麻薬組織のアジトを急襲
する計画は、あと一歩のところで齟齬をきたし、潜入捜査官
の身に危険が迫ることに。
一方、FSBの内部ではおとり捜査のために調達した麻薬の
手当で問題が起きてしまう。さらにはその調達に使った裏金
の始末など、様々な事情が絡まり始める。そして潜入捜査官
は辛くも危機を脱するが…。
出演は、ウラジスラフ・アバシンとアレクセイ・イグナチェ
フ。脚本と監督は、本作が長編デビュー作のアントン・ロー
ゼンバーグが担当した。
物語は麻薬流通監督庁と連邦保安庁、それに麻薬マフィアの
三つ巴のもので、さらには保安庁内部の汚職なども絡むから
かなり複雑。正直には1回観ただけでは充分には理解できて
いないものだ。でも雰囲気などは存分に楽しめるもので、正
しくノアールという感じの作品になっている。
ロシア映画も今後はこんな作品が増えてくるのかな。
公開は2月2日より、東京はヒューマントラストシネマ渋谷
他でロードショウとなる「未体験ゾーンの映画たち2016」の
1本として上映される。

『コインロッカーの女』“차이나타운”
2015年カンヌ国際映画祭の批評家週間に出品され、韓国公開
では自国映画の初登場第1位を記録したという作品。
主人公は、10番のコインロッカーに捨てられていたことから

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12月28日(月)
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