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On the Production
by 井口健二
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■ネクスト・ゴール!
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『ネクスト・ゴール!
世界最弱のサッカー代表チーム0対31からの挑戦』
“Next Goal Wins”
2001年に行われたワールドカップ・オセアニア地区予選で、
オーストラリアから歴史的な大敗を喫したアメリカ領サモア
代表チームが、2013年の地区予選に挑むまでを描いたドキュ
メンタリー作品。
2001年の予選というのは、2002年日韓共催ワールドカップに
向けたもので、この予選では最終的にオーストラリアが優勝
したが、当時の(現在も)オセアニア地区の出場枠は0.5し
かなく、優勝のオーストラリアは南米予選第5位のウルグア
イに負けて本大会出場を逃している。
という地区予選で起きた珍事だが、実はオーストラリア国内
でのセントラル開催で行われたこの大会に、米領サモアの代
表は招集された選手の内でゴールキーパーのニッキー・サラ
プ以外がパスポートの問題で出場できず、メムバーは15歳の
選手2名を含む寄せ集めであったとも言われている。
しかし記録は事実であり、特に本来の代表選手で唯一出場し
たサラプの心には大きな屈辱の思いが残っていた。しかも米
領サモアは2009年には津波の災害を受け、低地にあったサッ
カーグラウンドも大きな被害を受けてしまう。そんな中から
2013年に向けたチームが始動する。
そこで採られた方策が、アメリカ本国のサッカー連盟への協
力要請。そして連盟が行った募集に応じたのがオランダ人の
監督だった。しかし優秀だが、昔気質で口の悪い監督は周囲
の反感を買ってしまう。しかも代表選手にはサモアの文化で
ある第三の性の選手もいて…
原題は、草サッカーなどで双方の得点が判らなくなった時に
「次に点を取った方が勝ちだよ」というローカルルールだそ
うで、公式試合でそれはあり得ないが、10年間で200点以上
の失点、全敗のチームにはそんな言葉も掛けたくなる心境は
理解できるものだ。
自分自身、長年なかなか勝てないサッカーチームを応援して
きた身としては、この代表チームの関係者の心情も判るし、
そこに微かな希望を描いて進んで行くチームの姿にも感動を
覚えるものだ。しかも昔気質の監督が采配で行う歴史的な事
など。ある種のサッカーの夢が語られた作品でもある。
監督は、元々大学時代にサッカーで知り合い、卒業後の再会
して物語性のあるコマーシャルの制作会社を立ち上げたとい
うマイク・ブレットとスティーヴ・ジェイミスンのコンビ。
ナイキやアディダスなどのコマーシャルも手掛け、ウェイン
・ルーニーやアンドレス・イエニスタ、アリエン・ロッベン
といった人気選手とも仕事をした2人が、長編デビュー作と
して完成させた作品だ。
公開は5月17日から、東京は角川シネマ新宿、大阪はシネ・
リーブル梅田ほか、全国順次ロードショウとなる。また同日
からオンデマンド配信もされるようだ。
04月20日(日)
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