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On the Production
by 井口健二
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■her/世界でひとつの彼女、最近妹のようすがちょっとおかしいんだが、黒四角
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※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※
※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※
※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※
※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※
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『her/世界でひとつの彼女』“her”
2009年11月紹介『かいじゅうたちのいるところ』などのスパ
イク・ジョーンズの製作・脚本・監督により、今年の米アカ
デミー賞でオリジナル脚本賞を受賞した作品。
主人公は、個人の手紙の代筆を行っている男性。代筆といっ
ても文章は音声入力で作成し、それをPCが筆記体の書体で
プリントアウトする仕組みだ。そのため主人公はいつもPC
に向かって独り言のように手紙文を語っている。
そんな主人公が自分のPC用に新開発のOSをインストール
する。その新OSはAIを持ち、音声対応でその応対の仕方
にはあたかも個性があるかようにプログラムされていた。し
かも学習能力もあるという。
その音声として女性の声を設定した主人公は、OSをガール
フレンドのように扱い、OSもあらゆる文献を検索しながら
その検索結果を主人公に提供するようになる。それは主人公
にとって正に適切なアドヴァイスばかりだった。
こうして聡明なパートナーを得た主人公は、代筆の仕事にも
磨きが掛かり、さらには友人にもOSをパートナーとして紹
介して「Wデート」を楽しむようにもなって行くのだが…。
このデートの様子は最高に美しかった。
主演は今年1月紹介『エヴァの告白』などのホアキン・フェ
ニックス。共演は、2013年5月紹介『オン・ザ・ロード』の
エイミー・アダムス、同7月紹介『サイド・エフェクト』の
ルーニー・マーラ、今年1月紹介『ラッシュ/プライドと友
情』のオリヴィア・ワイルド。
そして2013年2月紹介『ヒッチコック』などのスカーレット
・ヨハンソンが、声の出演だけで第8回ローマ国際映画祭の
主演女優賞を受賞している。
PC上のプログラムに恋をする話はSFとしては前からある
アイデアだと思うが、日常生活の中で唐突にPCに人格が現
れても元々がSFファンでもなければ、それを単純に受け入
れることは難しいと思われる。
その点で言うと、本作の描き方の巧さでは正に唸ってしまう
展開だった。特に主人公とPCの関係など導入の仕方に無理
がなく、またPCの性格が徐々に変化して行く様も見事に描
かれている。
しかもそれらの展開が、現実的な技術手段などの巧みな織り
込みと共に描かれており、夢と現実が見事に錯綜する展開と
なっている。そして結末には正にSFの王道とも言える結論
が用意されていた。
小説や映画も含めてSFでは数多くのAIが作品の中で描か
れてきたが、その中で本作は最も現実的で、且つ夢に溢れた
作品と言える。しかもその結論は最も観客の心にしみる作品
になっていた。
公開は6月28日から、全国ロードショウとなる。

『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』
現在も月刊誌に連載中で、すでに刊行された単行本6巻では
累計75万部を突破。テレビアニメやノヴェライズ本の展開も
進んでいるという松沢まり原作コミックスの映画化。
バツイチ連れ子同士の両親の再婚で、義理の兄妹になってし
まった男女の物語。しかも父親の転勤に母親が同行し、家に
は血の繋がらない兄妹だけが残されている。そんな妹を兄は
気遣うのだが、妹はツンツンしていて…
ところがそんな妹が突然別人のように兄を誘惑し始める。そ
の訳は、実は妹の前に幼い頃に兄に救われたという女性の霊
が現れ、その霊は妹の身体を奪って兄への思いを遂げようと
していたのだ。
その上で彼女は妹に貞操帯を着け、妹の心に反応するゲージ
が満タンになると外れる貞操帯が外れるごとに、黄泉の国に
続く階段を1段ずつ登れると説明。そして彼女が黄泉の国の
門を通れば妹は解放されるというのだが。

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04月06日(日)
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