ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■バイロケーション、祖谷物語−おくのひと−、インシディアス第2章、幕末奇譚SHINSEN5−弐−風雲伊賀越え、魔女っこ姉妹のヨヨとネネ
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※
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『バイロケーション』
2010年、第17回日本ホラー小説大賞・長編賞を受賞した法条
遥原作小説の映画化。
一部の人間に分身<バイロケーション>が出現し、その分身
はある時点の人間の記憶や服装、持ち物などもそっくり複製
している。このため使用した紙幣はナンバーも同じで、後か
ら使用した人間がニセ札を使ったと疑われる。
そんな状況を背景に、バイロケーションの出現した主人公が
その対策を考える組織に勧誘され、そこで様々な状況に遭遇
して行く。そしてその組織では、バイロケーションは本人よ
り凶暴で、本人を殺しに来ると教えられるが…。
出演は、2011年3月紹介『大木家のたのしい旅行』などの水
川あさみ、ジャニーズKis-My-Ft2の千賀健永(映画初出演)、
ジャニーズJr.で今年2月紹介『桜、ふたたびの加奈子』な
どの高田翔。
他に今年8月紹介『許されざる者』などの滝藤賢一、2010年
『SPACE BATTLESHIP ヤマト』などの浅利陽介、酒井若菜、
豊原功補らが脇を固めている。
脚本と監督は、2006年9月紹介『ハヴァ、ナイスデー』の中
の一篇『夕凪』や2009年5月紹介『呪怨・黒い少女』などの
安里麻里。実力派の女流監督はトリッキーな作品をそつなく
こなしている感じだった。
作品を観ていて今年8月に紹介した『アルカナ』との類似点
が気になった。因に『アルカナ』は2000年に発表された漫画
が原作で、2010年の受賞作より10年近く先行しているものだ
が、実によく似た題材が描かれたものだ。
それでまあ、ある程度の比較はしてしまうが、映画化は先の
作品がアクションやスプラッターも加味していたのに対し、
本作では人間ドラマが中心に置かれて、それなりに異なる作
品にはなっている。
とは言え、状況を把握している警察の存在など、類似性は否
めないもので、その点は明確にしておきたいものだ。それに
結末自体は異なるが、そこに至る過程などもかなり似通った
展開になっていた。
映画ファンなら両方観てからとやかく議論するのが本来とい
う2作品だろう。同様のことは今年6月紹介『アップサイド
ダウン/重力の恋人』と8月紹介『サカサマのパテマ』でも
言えたが、こういう作品が1年に2組もあったのも珍しいこ
とだ。
公開は1月18日全国一斉ロードショウとなるが、実は本作は
『バイロケーション』表と称されているもので、その後に別
ヴァージョンの『バイロケーション』裏の公開が2月1日に
予定されている。
その裏ヴァージョンの試写の案内はまだ来ていないが、試写
を観られたら、また比較などもしてみたいものだ。
『祖谷物語−おくのひと−』
今年の東京国際映画祭の《アジアの未来部門》でスペシャル
・メンションを贈られた作品。映画祭中はスケジュールが合
わず観られなかったが、改めて試写会で鑑賞した。
物語の舞台は、四国徳島県の祖谷。僕は四国には親戚もいて
以前は何度も行っていたものだが、関東に住む人間だと南国
だと思っているこの地に、こんなにも雪深い秘境があるとは
考えてもいなかった。
そんな雪深い山道から転落した乗用車。その事故から奇跡的
に救出された赤ん坊が物語の主人公となる。その赤ん坊は、
救出した猟師の老人によって育てられ、老人と2人暮らしの
少女は山間の住居から高校に通うまでになっている。
そしてガスも水道もない住居では、桶で川の水を運び、薪を
くべた囲炉裏で料理を作るのが彼女の日課のようだ。そんな
家の近所には、都会に行った子供たちを懐かしむように等身
大の人形を作り飾っている老婆も住んでいた。
そんな少女の生活に闖入者が現れる。その男は山を彷徨って
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11月24日(日)
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