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On the Production
by 井口健二
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■ソウルガールズ、ビューティフル・クリーチャーズ、地球防衛未亡人、FLU運命の36時間、スノーピアサー+Oscar Animation
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※
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『ソウルガールズ』“The Sapphires”
ヴェトナム戦争末期に戦地慰問団として活躍したアボリジニ
初の女性ヴォーカルグループ「サファイアズ」の姿を描いた
実話に基づくオーストラリア映画。
1968年、ゲイル、ジュリー、シンシアの3姉妹はカントリー
音楽をこよなく愛し、居留地の住民たちの前で歌っては喝采
を浴びていた。しかしまだ差別が根強い時代ではコンクール
に出場してもアボリジニの彼女たちに勝目はなく、罵声を浴
びせられて、賞金はいつも白人のものだった。
そんな彼女たちに転機が訪れる。それは出場したコンクール
ではいつも通りだったが、MC兼キーボーディストの男性が
彼女たちへの仕打ちに怒って馘になったのだ。しかもちょう
どその時、彼女たちはヴェトナム慰問団のオーディションの
広告に目を留めていた。
こうして彼女たちはその元MCをマネージャーにして慰問団
を目指す。しかし彼は「カントリーはダメ、ソウルで行け」
と注文。そして従姉妹のケイを加えて4人組となった彼女ら
は、オーディションに合格してサイゴン、さらに前線へと向
かうが…。そこは戦争真っ只中の危険地帯だった。
物語の全体は、女性たちの歌声に彩られた音楽映画だが、そ
の背景はヴェトナム戦争。空には軍用ヘリコプターが舞い、
地上には戦車が往来する。そして野戦病院やコンサートの最
中にも襲ってくる戦闘など、正に戦争映画そのものも展開さ
れる作品になっていた。
しかもホーチミン市(旧サイゴン市)などに現地ロケされた
シーンでは、空を舞うヘリや地上を走る戦車などは当然実写
ではない筈で、そんなものが見事にVFXで再現される。こ
れはVFX映画として観ても相当のレヴェルの作品と言える
ものだった。
出演は、2002年10月紹介『裸足の1500マイル』で主人公の少
女を演じたデボラ・メイルマン、2009年にオールトラリアで
のアルバム売り上げ第2位を記録したというジェシカ・マー
ボイ、さらに舞台出身のミランダ・タプセルとシャリ・セベ
ンス。
またマネージャ役には、2012年4月紹介『ブライズメイズ』
などのアイルランド人俳優クリス・オダウドが扮している。
脚本は、母親がサファイアズのメムバーの1人だったという
トニー・ブリッグスと、オーストラリアのテレビで活躍する
キース・トンプスン。監督は、2005年に発表した短編映画が
ベルリン国際映画祭でクリスタルベア賞に輝いたというウエ
イン・ブレアの長編デビュー作となっている。
映画の巻頭で白人によるアボリジニ迫害の歴史が簡単に紹介
され、中にはlost generation などという言葉も出てきて、
2011年6月紹介『ワン・ヴォイス』のハワイと同じような事
がここでも行われていたことが理解できる。しかもそのやり
方がかなり特殊なかたちなのにも驚かされた。
しかし物語は、そんな迫害の中から夢と希望を頼りに奇跡の
ような成功を勝ち取った女性たちの物語で、その姿は清々し
く描かれた。因に彼女らは後にアポロ劇場にも立ち、現在は
アボリジニの地位向上の活動に貢献しているそうだ。
公開は1月11日から、東京はヒューマントラストシネマ有楽
町、ヒューマントラストシネマ渋谷にてロードショウ。数々
のソウルやカントリーの名曲も聞かせてくれる作品だ。
『ビューティフル・クリーチャーズ〜光と闇に選ばれし者』
“Beautiful Creatures”
ワシントンDC出身の元教師カミ・ガルシアと、カリフォル
ニア出身ゲームクリエーターのマーガレット・ストールの共
著で、2009年に発表されてNYタイムズのベストセラーリス
トにも掲載され、世界29ヶ国語に翻訳されているというヤン
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11月17日(日)
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