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On the Production
by 井口健二
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■グランドピアノ、赤々煉恋、光にふれる、ファルージャ、おじいちゃんの里帰り
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※
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『グランドピアノ』“Grand Piano”
イライジャ・ウッドの主演で、コンサートに出演中のピアニ
ストを主人公にしたサスペンス・アクション。
主人公は、以前に自分と自分の師匠にしか弾けない難曲の演
奏に失敗し、以来コンサート活動を止めていた世界一速く指
が動かせるというピアニスト。ところがその師匠が死去し、
女優でもある妻の説得で追悼演奏会に出演することになる。
そこには師匠秘蔵のピアノも搬入されていた。
とは言え、当然その難曲の演奏は断ったのだが、手渡された
楽譜には何故かその曲も挟み込まれていた。そして貴賓席か
ら妻が見守る前でコンサートはスタートするが、開いた楽譜
には難曲を演奏しないと殺すとの指示が朱書きされ、さらに
鍵盤に狙撃銃の赤いスポットが照射される。
実は日本では来年3月に公開予定の作品で、それをいち早く
内覧試写で観たのだが、内覧試写の場合はプレス資料も僅か
で、事前には大体上記の概要程度しか情報もなかった。それ
で在り来たりのサスペンスかなと思っていたら、これが何と
アクション映画になっている。
それも主人公が、注目を浴びる中でコンサートに出演中のピ
アニストというのだから尋常ではない。こんな一見不可能と
思えるシチュエーションが見事に展開される。そこにはいろ
いろ仕掛けもあるが、それも常識的(?)に観て納得できる
ものになっていた。
しかもタイトルが「ピアニスト」でなく「グランドピアノ」
な訳だが、それもちゃんと意味のあるもので、その周到に練
られた脚本には、全く脱帽という感じの作品だった。
その脚本は、今年のサンダンス映画祭で短編部門の審査員賞
を受賞したダミアン・チャゼレが手掛け、監督は作曲家でも
あるスペインのエウへニオ・ミラが担当した。
共演は、昨年9月紹介『アルゴ』に出演のケリー・ビシェ、
今年7月紹介『フローズン・グラウンド』などのジョン・キ
ューザック。さらに9月紹介『ロード・オブ・セイラム』な
どのディー・ウォーレスらが脇を固めている。
ピアニストを主人公にした作品では、2007年8月紹介『4分
間のピアニスト』など心に残る作品も多いが、本作はその仕
掛けなどからも記憶される作品になりそうだ。
特定の人物しか弾けないピアノ曲がキーになる作品では、昔
のテレビシリーズ『バークにまかせろ』の中にも1作あった
ように記憶しているが、本作の脚本家たちはそれを知ってい
たのかな? そんな記憶も呼び出される作品だった。
それにしても、最後があそこで終わるのはイライジャの最大
ヒット作を意識したのかな? それと字幕の中で、「新聞王
ケーン」とされているのは、日本の観客には「市民ケーン」
の方が判り易いと思うのだが。
『赤々煉恋』
直木賞作家朱川湊人の原作を、1986年『星空のむこうの国』
や、2010年7月紹介『七瀬ふたたび』などで、日本のファン
タシー映画の第一人者とされる小中和哉が監督した作品。
主人公は女子高生姿の少女。家の自室でふて寝している彼女
の勉強机に母親が食事を運んでくる。それは毎日の日課のよ
うだ。そして少女は制服姿のまま街を彷徨うが、誰も彼女の
存在に気づくことはない。
そんな彼女を認識しているのは、彼女が虫男と呼ぶ妖怪だけ
だ。それでも彼女は誰かと必死にコンタクトしようとし、つ
いに自堕落な母親に手を引かれた幼女が、彼女の存在に気づ
いてくれるが…。
主演は今年8月紹介『アルカナ』などの土屋太鳳。共演は、
テレビシリーズ『仮面ライダーフォーゼ』の清水富美加と吉
沢亮。さらに自堕落な母親役に『星空のむこうの国』以来の
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11月10日(日)
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