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On the Production
by 井口健二
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■寫眞館/陽なたのアオシグレ、ゼロ・グラビティ、大英博物館 ポンペイ展、オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ、楽隊のうさぎ
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『寫眞館』
2002年『パルムの樹』などのアニメーション監督なかむらた
かしによる17分の最新作。
丘の上に建つ写真館を舞台に、明治大正昭和を生きた1人の
女性の姿が描かれる。物語の始まりは軍人らしい夫に連れら
れた女性。シャイでなかなか顔を上げられない女性に写真館
の主人はいろいろ工夫をし、ついに微笑む顔を撮影する。
やがてその女性は女の子の赤ん坊を連れてくるが、その子は
しかめっ面を変えず、写真館の主人はいろいろ方策を練る。
そんな赤ん坊は成長し、就職、結婚、子供もでき、その都度
訪れて写真を撮るが、表情を変えることはなかった。
そんな女性の周囲では、戦争や大地震、高度経済成長など、
様々な社会の出来事が進んで行く。
この女性の人生が不幸だったのかどうかも映画だけでは判ら
ない。しかし男性社会の中で多くの日本人女性の人生はこん
な風だったのかもしれない。そんな切なさが見事に描かれた
作品だった。
『陽なたのアオシグレ』
2009年発表『フミコの告白』と2011年発表『rain town』で
文化庁メディア芸術祭に2年連続受賞を果たした石田祐康に
よる18分の劇場デビュー作。
主人公はちょっと妄想癖のある内気な小学生。彼はクラスの
マドンナに憧れを抱いていたが、彼にできるのは彼女を想い
ながら絵を描くことぐらいだ。ところが彼女が転校すること
になり、彼は何も伝えていなかったことに気づく。
そして彼は彼女の後を追って走り出す。それは次々に妄想を
呼び、彼の周囲では驚くようなアドヴェンチャーが繰り広げ
られて行く。物語は単純だが、繰り出される映像は、これが
日本アニメーションの実力という感じの作品になっていた。
という2作品だが、実は公開はシネ・リーブル池袋にて10月
13日に1日限定で行われるのみ。試写会はその前後に何回か
行われるが、一般には観る機会の少なそうな作品だ。
とは言うものの、作品の出来はどちらも素晴らしくて、これ
は紹介しなくてはと思わされた。
実は今年2月紹介『アニメミライ2013』を観たときは、
そのあまりに商業主義的な作品の羅列に一抹の不安を覚えた
ものだ。もちろん日本アニメーションはその商業作品で評価
されているのだが…。
しかし本作でその不安は解消されたと言える。これが真の日
本アニメーションと言いたい。
10月13日の限定公開はチケットも完売だったようだが、出来
れば改めて公開の機会を作ってもらいたいものだ。

『ゼロ・グラビティ』“Gravity”
アルフォンソ・キュアロン製作、脚本、監督、編集。サンド
ラ・ブロック、ジョージ・クルーニー共演によるゼロ重力の
宇宙ドラマ。
物語の始まりは、地表から600kmの軌道上で作業をしている
男女。初めてのミッションで不慣れな女性は、今回が最後の
ミッションというベテラン男性飛行士のサポートを受けなが
ら宇宙望遠鏡の修理に当たっている。
そこに緊急指令が届く。ロシアが自国のスパイ衛星の爆破を
目論み、それが誘爆を引き起こして大量の破片が軌道上を襲
ってくるというのだ。しかし指令は遅く、スペースシャトル
は大破して2人だけが宇宙空間に取り残されてしまう。
こうして何とか2人の命だけは助かったが、地上との無線連
絡も途絶え、生き残る術は遠くに浮かぶ国際宇宙ステーショ
ンにたどり着き、そこに来ているはずのソユーズで帰還する
方法だけだった。
こうして国際ステーションに向かって宇宙遊泳を始めた2人
だったが、その軌道上には90分の周回時間ごとに破片が襲い
掛かってくる。果たして2人はステーションに辿り着き、地
球に帰還することができるのか…?

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10月13日(日)
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