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On the Production
by 井口健二
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■僕が星になるまえに、武器人間、ウォーキング・デッド:シーズン3、ハンナ・アーレント、燦燦
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『僕が星になるまえに』“Third Star”
今年6月紹介『スター・トレック イントゥ・ダークネス』
で注目されたベネディクト・カンバーバッチの初主演作で、
2010年のエジンバラ映画祭でクロージングを飾ったイギリス
映画。
カンバーバッチが演じるのは29歳の誕生日を迎えた男性。し
かし彼が30歳の誕生日を迎えられないことは、誕生パーティ
に集まった彼の家族も友人たちも、彼自身も知っていた。
そして彼が希望した誕生日のプレゼントは、仲間3人との旅
行。それはすでに身体の動きに支障のある彼を特製のカート
に乗せ、彼がもう一度見たかった浜辺に行くことだった。
ところが荒野を進むその旅には予想以上の困難が待ち構えて
いた。その困難の中で、カートの破損や薬の紛失や仲間割れ
などの問題が彼らに襲いかかる。それでも旅は続くが…。
共演は、2005年12月紹介『リバティーン』に出演のトム・バ
ーク。本作の後で2011年8月紹介『キャプテン・アメリカ』
に出演のJJ・フィールド。因にフィールドは、2009年4月
に紹介と5月に追記も書いた香港映画『ラスト・ブラッド』
に比較的大きな役で出演していたようだ。それに本作のプロ
デューサー補佐も担当したアダム・ロバートスン。
脚本は、俳優出身で脚本は初めてだが本作のプロデューサー
も務めるヴォーン・シヴェル。監督は、編集部門の出身で本
作以前には短編作品を3本監督しているハッティー・ダルト
ンが担当した。
物語は、最近では比較的目にしたり耳にしたりも多くなって
いる題材と言える。従って描く側もそれなりの覚悟が必要と
思われるものだが、脚本家や出演者にもプロデューサーの肩
書きの人がいるのは、何か背景があるのかもしれない。
結末は、個人的には容認し難い部分もあるが、状況を考える
と仕方ないかとも思える。人間はどんなに微かであっても希
望を持って欲しいものだが、逆にこういう結末を迎えるのが
彼の人生だったとも言えるのだろう。
そんな結末を描くことが、プロデューサでもある脚本家の特
別な思いのような感じもする。苦難の末にたどり着く浜辺の
静かな風景が、より強くそんな思いを感じさせてくれる作品
でもあった。
なお本作に関しては、“Third Star”という原題の意味が気
になるが、検索した中では“Peter Pan”に出てくる言葉と
いうのが有力なようだ。確かに本作でカンバーバッチが演じ
ている役名ジェームズは、『ピーターパン』の原作者にも通
じている。
そして彼らが目指すバラファンドル湾がネヴァーランドだと
いうのだが…。因に、『ピーターパン』でネヴァーランドが
あるのは「右から二番目の星」の方角のようだ。
日本公開は10月26日から、東京はヒューマントラストシネマ
有楽町ほかで予定されている。

『武器人間』“Frankenstein's Army”
オランダのCM界で超人気ディレクターというリチャード・
ラーフォースト監督が、原案とクリーチャーデザインも手掛
けた長編デビュー作。
物語の背景は1945年=第2次大戦末期。ソ連軍の猛攻の前に
ドイツ軍の敗色も濃厚となった東部戦線で、スターリンの密
命を受けた一部隊がドイツ占領地内の調査に向かう。
その調査の目的はほとんどの隊員には知らされていなかった
が、そこには撮影班も同行しており、その一部始終が記録さ
れた。その記録映像というfound footage設定の作品だ。
その部隊は激しい戦闘の中を、ドイツ軍がアジトにしていた
らしい修道院に辿り着く。しかしそこには虐殺された死体が
散乱し、また墓地が掘り返された痕もあった。
そして修道院に侵入した隊員たちは、工場のようなその内部

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09月29日(日)
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