ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■アイ・ウェイウェイは謝らない、ファントム開戦前夜、ケンとメリー・雨上がりの星空に、フィルス、僕たちの高原ホテル
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『アイ・ウェイウェイは謝らない』
              “Ai Weiwei: Never Sorry”
2008年北京オリンピックの主会場となった通称「鳥の巣」の
設計に参加したことでも話題になった中華人民共和国の現代
芸術家=艾未未の姿を追ったドキュメンタリー。
艾はスタジアムの設計に参加したものの、招待された開会式
と閉会式には出席しなかった。それは北京政府がオリンピッ
ク開催のために住民のいる居住区を強制収用するなど、激し
い住民弾圧を行ったことへの抗議であった。
しかも北京政府はオリンピックの直前に起きた四川大地震で
は、ずさん工事で倒壊した学校校舎にいて死亡した子供たち
の数を隠蔽。その事態に怒った艾は独自にその調査を開始す
る。そして訪れた成都で警官の暴行を受ける。
その暴行では頭部に損傷を受け、個展のために訪れたミュン
ヘンで緊急手術を受ける事態にまで発展する。さらにその事
実を訴えた艾は北京政府の嫌がらせを受け始め、ついには自
宅監禁の処置を受けて現在に至っている。
そんな艾の姿が本作では、共産主義の信奉者であったにもか
かわらず右派分子の烙印を押され、黒竜江省や新疆ウイグル
地区に追放され、文化大革命でも迫害を受けた現代主義詩人
の父親=艾青のことから解き起こして紹介される。
さらに本作の取材はオリンピック後からではあるが、成都の
ホテルで警官から暴行を受ける瞬間も含めて完璧に撮されて
おり、さらに艾個人のブログの閉鎖など、北京政府の行為の
悪辣さも見事に描き出しているものだ。
その他にも艾のスタジオの閉鎖やそれに対する艾の抗議の模
様など、北京政府による艾への弾圧の様子は余すところなく
伝えられた作品だ。それは滑稽ですらあるものだが、それが
隣国では現実に起きている出来事なのだ。
その一方で本作では、初取材とされる母親や実弟へのインタ
ヴュー、さらには艾が愛人との間に生まれた息子と遊ぶ姿な
ど、ヴァラエティに富んだ内容で艾本人の姿が描き出されて
いる。
それにしても北京政府の悪辣さは目に余るが、ブログを閉鎖
された艾は、現在もツィッターで情報を発信し続けいている
とのことで、その草の根からの支援が艾と北京政府の将来を
左右して行くことになりそうだ。
そんなことも考えさせる内容になっていた。
監督はアリスン・クレイマン。監督はアメリカ出身のフリー
ジャーナリストで、2006年から10年まで中国に滞在して米国
テレビ放送のレポーターなどを務め、本作が監督デビュー作
とのことだ。
その本作では、2012年のサンダンス映画祭で審査員特別賞を
受賞した。

『ファントム開戦前夜』“Phantom”
2012年4月紹介『崖っぷちの男』などのエド・ハリスと、テ
レビドラマ『X−ファイル』などのデイヴィッド・ドゥカプ
ニーの共演で、2002年10月紹介『K−19』と同じく旧ソ連の
潜水艦を舞台にした実話に基づくとされる作品。
物語は、退役間近の潜水艦艦長が、老朽化した潜水艦の最後
の任務の指揮を取るべく呼ばれるところから始まる。その艦
には大陸間核ミサイルも搭載されており、任務は太平洋海域
で米海軍艦隊の監視に当たるというものだった。
ところが艦長が乗艦すると、艦内にはKGBからの派遣とい
う謎めいた一団がおり、彼らは上甲板に何やら装置を設置し
た上で、秘密の実験を行うことが任務だと告げる。こうして
不穏な雰囲気の中、艦は出航するが…。
実話の事件は1968年、ソ連太平洋艦隊の潜水艦が通常の作戦
海域を大きく逸脱し、ハワイ沖に接近した上で爆沈したとい
うもの。実際には同年2月に出港した艦は、3月に入って連

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09月22日(日)
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