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On the Production
by 井口健二
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■シャンボンの背中、Miss ZOMBIE、あの日見た花…、ある愛へと続く旅、009-1、スクールガール…、ランナウェイ、許されざる者
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『シャンボンの背中』“Mademoiselle Chambon”
今年5月紹介『恋のベビーカー大作戦』に続いてwowow企画
「旅するW座」で全国公開される第5弾作品。
物語の中心は、中年の男性。大工で妻と一人息子と極々平凡
だった彼の生活に変化が訪れる。妻に代わって息子の迎えに
学校を訪れた彼の前に美しい女性の担任が現れたのだ。彼女
は臨時教員だったが、彼女は彼に父親の仕事を教える授業へ
の参加を要請する。
その授業は巧みな生徒指導もあって順調に進み、授業の後で
彼女は自分の下宿の部屋の窓から隙間風が入るので診て欲し
いと話し、彼はその点検に行くことにする。そしてその作業
を終え、彼女がヴァイオリニストであることを知った主人公
は、彼女に思い出の曲の演奏をリクエストする。
それに対し暫らく人前で演奏したことがないという彼女は、
主人公に背を向けて演奏を始める。題名はそのシーンを意味
しているものだ。そして徐々に親しくなった2人は抜き差し
ならない関係になって行くが…。正に分別をわきまえている
はずの大人の男女が、罠のように堕ちてしまう物語だ。
といっても本作はフランス映画、物語は1992年『氷の微笑』
ではなく、1966年『男と女』のように展開されてゆく。この
描き方が今の日本人にどう映るかは判らないが、僕自身とし
ては懐かしさも込上げてくるような作品だった。
脚本と監督は6月20日付「フランス映画祭2013」で新作
の『母の身終い』を紹介しているステファヌ・ブリゼ。エリ
ック・オルデルの原作からフロランス・ビニョンと共に脚色
した作品は、セザール賞の脚色賞を受賞している。
出演は『母の身終い』にも主演しているヴァンサン・ランド
ンと昨年4月紹介『屋根裏部屋のマリアたち』などのサンド
リーヌ・キベルラン。因に2人は実生活では元夫婦で、本国
ではその共演も話題になったそうだ。
また、劇中の女性教師のヴァイオリンは吹き替えだが、その
演奏は田中綾子という大阪出身のヴァイオリニストが担当し
ている。2007年8月紹介『4分間のピアニスト』の吹き替え
も2人の日本人女性演奏家が担当していたが、こういう活躍
を見るのも嬉しいものだ。
日本公開は10月から全国順次で行われるが、劇場などの詳細
は今回は案内されなかった。ただし東京は12月13日から渋谷
のユーロスペースとなるようだ。
VFXもアクションもないし、ミステリーもないけれど、大
人のラヴストーリーをじっくり楽しみたい作品だ。

『Miss ZOMBIE』
2009年4月紹介『蟹工船』などのSABU監督が、原案と脚
本も手掛けたゾンビ映画。
物語の背景は、ゾンビは普遍化しているらしいが、まだ社会
には受け入れられていないような世界。そんな世界のとある
邸宅に箱詰めにされた女性のゾンビが届くところからお話は
始まる。
その箱にはゾンビを飼育するための注意書きも添えられ、そ
れは1984年『グレムリン』も思い出される。さらにそこには
ゾンビを射殺できる拳銃も添えられていた。しかし周囲の人
からは早く処分しろとの抗議も受ける。
それでも邸宅に置かれたゾンビは、簡単な掃除などの仕事を
を命じられたままにするようになるが…。傷は負っているが
女性のゾンビには、邸宅の主人や出入りする男たちの関心も
集まって行く。そして妻や子供との葛藤が始まる。
前の紹介のときも書いたが、SABU監督の作品はなかなか
観る機会がなくて今回が3作目。前の紹介以降の作品も観て
いなかった。しかもそれぞれ作品のスタイルも違っていて、
僕としては評価の定まらない監督だ。
その新作は、モノクロ映像でかなりスタイリッシュな作品に

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08月10日(土)
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