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On the Production
by 井口健二
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■第198回(Artemis Fowl,The Butterfly Effect)
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※このページは、SF/ファンタシー系の作品を中心に、※
※僕が気になった映画の情報を掲載しています。    ※
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 今回はこの話題から。
 2002年5月1日付け第14回で最初の報告をし、2003年2月
1日付け第32回では監督の名前まで紹介したオーエン・コル
ファー原作“Artemis Fowl”の映画化がようやく動き出しそ
うだ。しかも映画化を進めるのは、ウォルト・ディズニー・
スタジオで、製作をハーヴェイ・ワインスタインが担当する
というものだ。
 原作のシリーズ第1巻は2001年にイギリスのヴァイキング
プレスから出版され、その原作に直ちに目をつけたワイスタ
イン兄弟がアメリカでの出版権を獲得。自らが運営するミラ
マックスでアメリカでの出版を手掛けると共に、映画化権も
設定してロバート・デニーロ主宰のトライベカでの映画化を
進める計画だった。そして監督も決まっていた。
 ところがこの計画は頓挫してしまう。その理由は、ウィキ
ペディアには‘development hell’に陥ったと書かれている
が、当時はミラマックスが籍を置いていたディズニーとワイ
ンスタイン兄弟との間で確執が表面化。2005年にはワインス
タイン兄弟が独立してしまう。この際に彼らが所有していた
権利はディズニーに残されてしまった。
 このためワインスタイン兄弟は映画化を進めることが出来
なくなり、一方のディズニーも恐らくは兄弟側に立つと思わ
れるロバート・デニーロが間に入っているために動きが取れ
なかったようだ。こうして、2003年には原作者のコルファー
が脚本にOKを出したとされるシリーズの映画化は、闇に消
えてしまうことになった。
 そんな中で、2008年9月1日付け第166回ではデニーロ側
の動きとして脚本家の名前も紹介したが、それも上手くは行
かなかった。また2011年には、6度のオスカーノミネーター
で、2012年9月紹介『ドリームハウス』などのジム・シェリ
ダン監督が映画化に興味を持っていると伝えられたが、それ
も立ち消えになってしまった。
 その“Artemis Fowl”の映画化が再び動き出し、しかもそ
の実現にディズニーとワインスタイン兄弟が手を組むという
ものだが、これは正に青天の霹靂。実際に今回の発表に当っ
てハーヴェイ・ワインスタイン自身が「5年前にディズニー
と一緒にやるかなんて聞かされたら、お前狂ったか?と言っ
ただろうね」と述べているほどのものだ。
 その背景には、ディズニーが2005年以来所有していたミラ
マックスのブランドをすでに第三者に売却。その権利をワイ
ンスタイン兄弟が買い戻す道が開けているということもある
ようだ。因にミラマックスの社名は兄弟の両親の名前に由来
しており、その名称が他人に使われているのは、兄弟にとっ
て断腸の思いだった。
 こうしてワインスタインとディズニーが再び手を組み、念
願の映画化が進み始めたものだが、計画ではトライベカのロ
バート・デニーロとジェーン・ローゼンタールが製作総指揮
を担当、脚本には2007年6月紹介『ハリー・ポッターと不死
鳥の騎士団』を手掛けたマイクル・ゴールデンバーグの起用
も発表されている。監督は未発表。
 なお今回の映画化では、原作シリーズの第1巻と第2巻の
“The Arctic Incident”を纏めて行うとされているものだ
が、それだと全体の物語は始ったばかり、出来たら一応の決
着となる第3巻“The Eternity Code”までは映画化して欲
しいものだ。またそれに続く第4巻“The Opal Deception”
の始まりもかなり感動的だった。
 その後の原作シリーズは昨年刊行の第8巻で再度の完結と
なっているが、シリーズは44ヶ国語に翻訳され、総発行部数
は2100万部に達しているとのこと。出来たらそれらの映画化
も期待したいものだ。
        *         *
 お次はrebootの話題で、2005年3月紹介『バタフライ・エ
フェクト』“The Butterfly Effect”を再開する計画が、前

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08月01日(木)
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