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On the Production
by 井口健二
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■ザ・タワー、愛のあしあと、NY恋人たちの2日間、アート・オブ・ラップ、ギャツビー、コンプライアンス、ごみアート、特別映像(AE,LR,MU)
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※
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『ザ・タワー 超高層ビル大火災』“타워”
往年のファンには1974年の『タワーリング・インフェルノ』
が思い出される超高層ビルを舞台にした韓国製のパニック作
品。
ビルの名前はタワースカイ。地上448m、108階建ての建物に
は、1700世帯5700人が住む居住区と65階には展望レストラン
やショッピングモールも併設された複合ビルだ。
そしてその日はクリスマス・イブ。天気予報では晴天が予想
される中で、ビルのオーナーは10機のヘリコプターから人工
雪を降らせるサプライズを演出。ところがその最中に1機が
バランスを失い、ビルに激突して火災が発生する。
この火災に出動した消防は、直ちに激突したヘリの消火活動
と住民たちの避難誘導を始めるが、65階の展望レストランに
集められた客らにはそこから先の脱出のすべが残されていな
かった。
単純に言って物語の中心は、はしご車の届かない超高層ビル
からの脱出劇となるものだが、様々な人間模様が絡むのも、
1974年作品とさほど変わるものではない。ただそれが最新の
CGI−VFXでどこまでリアルに描き尽くせるかが勝負と
なる作品だ。
それはまあ、1974年作品では背景もホリゾントの絵でしかな
かったものが、リアルな動画で表現されている辺で、それは
技術の進歩は如実に感じられるものになっている。特にヘリ
の激突シーンなどはCGIがなければ描けなかったものだろ
う。
その一方で人間模様はいろいろ工夫はされているが、所詮は
人間の行動などは何10年経っても変わらないもので、実力者
の横暴などが変わらず描かれているのは、人間社会のつまら
なさを描いているようでもある。
家族問題や宗教問題などが比較的大きな比重で描かれている
のは、韓国に特有のものも表現されていたようだが、それも
韓国映画ではステレオタイプかなという感じではあった。
出演は、2009年『TSUNAMI』などのソル・ギョンギ、2005年
7月紹介『私の頭の中の消しゴム』などのソン・イェジン、
2008年3月紹介『光州5・18』などのキム・サンギョン。
他に昨年10月紹介『マイウェイ』に出演のキム・イングォン
とト・ジハン、『光州5・18』などのアン・ソンギらが脇
を固めている。
脚本と監督は、『光州5・18』や2011年9月紹介『第7鉱
区』などのキム・ジフン。VFXは『マイウェイ』なども手
掛けた韓国のDIGITAL idea社が担当している。
『愛のあしあと』“Les Bien-aimés”
2011年のカンヌ国際映画祭のクロージングを飾った作品。カ
トリーヌ・ドヌーヴとリュディヴィーヌ・サニエによる2人
1役のダブル主演と、ドヌーヴの娘キアラ・マストロヤンニ
の共演で、1960年代から現代に至る恋する女性の過酷な運命
が描かれる。
サニエが扮する60年代の主人公マドレーヌは、パリの靴店の
店員。ある日の閉店間際にハイヒールを倉庫に戻そうとした
彼女は靴箱が見つからず、咄嗟にスカートの下に隠して持ち
出してしまう。そして街角で赤いハイヒールを履いたマドレ
ーヌは、男性に声を掛けられる。
こうして娼婦の仕事も始めたマドレーヌだったが、それは彼
女を犯罪者に落とさないための方策でもあった。そして街で
男を拾っている内に、彼女はプラハからやってきた医学生と
運命の出会いをする。その彼に請われるままにプラハに移住
し、長女も儲けたマドレーヌだったが…
プラハの春やその後の世界情勢なども背景に置きながら、男
性に翻弄される、あるいは男性を翻弄する女性の生き様が描
かれる。さらに物語はマストロヤンニ扮する娘ヴェラの時代
にも進み。そこでも母親の運命をなぞるかのようなその姿も
見詰めて行く。
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05月20日(月)
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