ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■サバイビング・P、カレ・ブラン、探偵ヨンゴン、ノー・ワン・リヴズ、ジャーニー、タイガー、アニメミライ2013、オズはじまりの戦い
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『サバイビング・プログレス』“Surviving Progress”
いま世界が直面している問題を読み解くドキュメンタリー。
本作は、1997年に“A Scientific Romance”というウェルズ
の「タイム・マシン」を前提にした小説も発表しているイギ
リス生まれカナダ在住の作家ロナルド・ライトが、2004年に
発表し、邦訳も出ているノンフィクション「暴走する文明」
を基にしているとのことで、作品にはライト本人も登場して
持論を述べている。
その趣旨としては、人類は5万年前から生物学的には進化し
ておらず、その5万年前のままの人類が21世紀の地球を支配
していることへの危惧が語られているようだ。そこで本作で
は、アマゾンの乱開発など人類が世界中で繰り広げている悪
行が紹介される。それはもうアマゾンの惨状などは目を覆い
たくなる程のもので、訴えてくるものも大きい。
さらに作品では、人類の消費傾向に言及し、インドや中国の
国民がアメリカと同じ生活水準を求めたら地球は5個分あっ
ても資源が足りないという現実が紹介される。そこで人類の
進むべき道として、スティーヴン・ホーキンス博士の「人類
は宇宙に進出すべきだ」とか、ジョージ・ルーカスの「人類
の遺伝子を組み替える」などの意見が述べられる。
ただしこのホーキング博士やルーカスの意見は、本作の制作
者たちは極論と見倣しているようで、本作の結論としては、
遺伝子学者デヴィッド・スズキが述べる「従来型の経済学は
脳梗塞状態」という意見や、霊長類学者ジェーン・グッドー
ルの「地球上で最も知的な人類が、なぜ唯一の故郷を破壊す
るのか」といった意見が提示される。
本作で紹介されているもののほとんどは、それなりに興味を
持っている人には既知のものが大半だと思われるが、それら
を総合的に提示していることでは、そのようなことを知らな
いでいる人たちにもアピール出来ると思える作品だ。ただそ
れらが86分の上映時間の中に羅列的に提示されると、なかな
か明確なものが見えてこない。
とは言え観ている内に、経済優先の世界の体制が地球破壊の
元凶であることは今まで以上に切実に感じられたもので、こ
れはTPPには反対した方が良いのではないかとも思えてき
た。そんな不況だ不況だと言いながら、海外旅行や携帯電話
に大金を注ぎ込ませている連中に、しっかりと見てもらいた
い作品だった。

『カレ・ブラン』“Carré blanc”
試写状に「『THX1138』『時計じかけのオレンジ』の遺伝子
を受け継いだ近未来・暗黒譚。」と書かれた作品。
僕が観に行ったのは試写会の2回目だったが、試写の前に宣
伝の担当者と話していて「前回は観た人のほとんどが出てく
る時にどんよりとした表情だった」と聞かされ、一体それは
何なのかと思ってしまった。それで僕が観たときは普段SF
映画を見慣れている顔ぶれと一緒だったのだが、僕自身も含
めて皆そんなにどんよりすることはなかった。
登場する近未来は、街路に人の姿もまばらな、恐らく人口は
減少傾向にあると思われる世界。そこでは何をやっているの
か良く解らない企業らしきものが存在していて、主人公はそ
こで部署の責任者の立場にいるようだ。そこには厳しい競争
原理もあるようで、部下たちには目標の達成が求められ、失
敗した時には厳しい制裁が待っている。
そんな未来の街には暴力が蔓延っているが、その被害者の死
体はただ黒い袋に詰められて運び去られるだけ。しかもその
黒い袋の行き着く先は…。さらに街には常に放送が流されて
おり、そこでは子供の誕生が大々的に取り上げられる。その
一方で子供を隠して育てることには制裁が加えられることも

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02月28日(木)
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