ID:47635
On the Production
by 井口健二
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■コズモポリス、野蛮なやつら、ふたたびの加奈子、コドモ警察、食卓の肖像、フリア/よみがえり少女、孤独な天使たち、シュガーマン
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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※
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『コズモポリス』“Cosmopolis”
翻訳もされているアメリカの作家ドン・デリーロの原作を、
カナダ出身のデイヴィッド・クローネンバーグ監督が映画化
した作品。ノーベル文学賞候補には毎年のように挙げられて
いるという原作者だが、発表された原作が映画化されるのは
今回が初めてのようだ。
物語の主な舞台は、大型の乗用車(リムジン)の中。その車
内にはインターネットからトイレまで、生活に必要な全てが
揃っており、主人公はその車内で金融に関わる日々の業務も
行っている。そんな主人公は相場を先読みする天分を持ち、
彼はそれで巨万の富を得ていた。
ところがある日、主人公は人民元の相場が読めないことに気
付き、自分が現実を知らないことに気付かされる。そして彼
はリムジンを街の反対側にある理髪店に向かわせるのだが、
その日の街には大統領の訪問が予定され、道筋は交通規制と
デモ隊でごった返していた。
という状況の中で、主人公の疎外感や絶望感が描かれ、破滅
に向かって行く姿が描かれる。
主演は『トワイライト・サーガ』などのロバート・パティン
スン、共演はジュリエット・ビノシェ、マチュー・アルマリ
ック、サマンサ・モートン、ポール・ジアマッティ。
さらに、昨年9月紹介『ドリームハウス』に出演のサラ・ガ
ドン、2011年10月紹介『リアル・スティール』などのケヴィ
ン・デュランド、そして2010年7月紹介『魔法使いの弟子』
などのジェイ・バルチェルらが脇を固めている。
台詞には、人民元に始まって前立腺非対称など通常使用され
ない言葉が飛び交うが、物語自体はクローネンバーグにして
は明確で、主人公の心情なども理解し易かった。因に脚色も
クローネンバーグが手掛けているが、物語も、台詞もほとん
どが原作の通りなのだそうだ。
一方、車中がオフィスというのは昨年5月紹介『リンカーン
弁護士』にも出てきた設定だが、本作のそれはさらに機能化
されたもので、この辺は原作者を含むアメリカ人の憧れなの
かな。
ただその反映でもある理髪店の椅子が、台詞ではcar chair
と言っていたのに、字幕は「車椅子」。これでは身障者用の
wheelchairと誤解されそうで、せめて「クルマ椅子」くらい
にしておいて欲しかったところだ。
『野蛮なやつら/SAVAGES』“Savages”
2007年11月紹介『ボビーZ』の原作者ドン・ウィンズロウが
2010年に発表した小説を、2009年4月紹介『ブッシュ』など
オリヴァ・ストーンの脚本(原作者及び製作総指揮のシェー
ン・サレルノとの共同)と監督で映画化した作品。
原作は、スティーヴン・キングが「セミオート版『明日に向
って撃て!』」と絶賛したものだそうで、アウトローの2人
の男性と、彼らに等しく愛される1人の女性を巡って、刹那
的な彼らの青春が描かれる。
その物語の中でアウトローの2人が行うのは「世界一の大麻
の栽培」。幼馴染だった2人は、一方は植物学者に、他方は
傭兵にと生き方を違えたが、その傭兵が戦地アフガニスタン
から持ち帰った大麻の種を植物学者が栽培し、最高級の大麻
を作り出したのだ。
その大麻は1500万人の顧客を持つビッグビジネスとなり、彼
らを大富豪にする。そしてその収益で植物学者はアフリカや
アジアに慈善団体を設立。一方の傭兵は今だに戦地を渡り歩
いていた。そんな2人がいつも帰り着くのは、本作の語り部
でもある女性の許だ。
しかしそんな彼らに暗雲が接近する。彼らのビジネスにメキ
シコの麻薬組織が提携を迫ってきたのだ。そこには殺し屋の
影もちらつく。そこで身の危険を感じた彼らは、ビジネスを
捨てて国外逃亡企てるのだが、非情な組織はそれも許しては
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02月20日(水)
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